研究課題/領域番号 |
18K10584
|
研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
檪 直美 福岡県立大学, 看護学部, 准教授 (80331883)
|
研究分担者 |
尾形 由起子 福岡県立大学, 看護学部, 教授 (10382425)
田中 美加 北里大学, 看護学部, 教授 (70412765)
江上 史子 福岡県立大学, 看護学部, 助教 (80336841)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 認知症 / 高齢者 / 家族介護者 / 介護力 |
研究実績の概要 |
令和2年度の目的は、前年度に認知症カフェ開設や認知症支援のための人材育成プログラムに参加した住民への地域活動を支援するための仕組みを構築することであった。しかし新型コロナウイルス感染拡大のため多くの地域活動の中止が余儀なくされ、家に閉じこもり孤立や孤独な生活を送らざるを得ない状況であることが推測できた。そこで人材育成プログラムに参加した者がこの1年どのような状況にあるのか、また活動への意欲や社会交流のための手段・方法について郵送自記式アンケート調査を行い、早期に活動再開へと繋げていくことを目的とした。調査は令和2年11月~12月に郵送法で実施した。結果は回答数98名、年齢は50歳代21名(22%)、60~64歳8名(8%)、65~69歳14名(14%)、70~74歳29名(30%)、75~79歳18名(18%)、80~84歳7名(7%)、85歳以上1名(1%)であった。社会交流のための通信手段として携帯電話、固定電話、FAX、パソコン、タブレットの所有や活用については、携帯電話でスマートフォンの所有は74名(76%)、持ってないが24名(24%)、ガラケーの所有は23名(23%)で通信手段として固定電話のみが4名で65歳以上であった。記述内容で自身の1年間の変化について最も多かったのが「人との繋がりが希薄となり、孤立や孤独を感じる」、次いで「健康や認知症などに不安がある」であった。社会活動状況についてはほぼ全員が活動が全くできていないとのことであった。今後は感染対策を講じながら再開を望む一方で、不安である声も多く、Zoomなどのオンライン、Web開催で交流を図る方法を習得し安心安全を望んでいた。そのためにはリモートで交流ができる方法を教えてほしい、教室を開催してほしいとの声もあり、人材育成においてはこれら活用できる方法も組込み、新たな社会活動の仕組みを構築する必要性がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
まず遅れていると判断した理由として、今年度は新型コロナウイルス感染拡大のためすべての活動が中止となったことにある。そのため活動中止が人勢育成プログラムに参加した中高年にどのような影響を及ぼしているかを調査して今後の再開に向けての方策を検討することとなった。この1年の活動休止により孤立や孤独、健康不安を抱えるものが多数であり、令和3年度の活動の早期開催に向けて安心安全な方法を模索していくこととなった。リモートにより活動を再開することも検討している。今年度の調査において高齢になっても新たな手段を獲得し、環境に適応していく重要性は明らかとなり、そのための支援方法を早急に検討する必要性が生じている。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度は前年度に予定していた認知症支援育成プログラムに参加した地域住民による安心・安全な認知症カフェの再開であり、そこに医療、福祉、介護の多職種により介護力獲得支援プログラムを用いて介入を行っていくことである。具体的には地域住民が主体となり認知症カフェを運営していく中で、正しい感染対策を講じること、リモートにより運営者に対して専門職が相談役として定期的に関わり、運営が可能となるように支援する。地域住民による認知症カフェの運営は、運営側にとってもやりがいや生きがいとなり社会的意義をもたらすことになる。そこで専門職が地域住民とともに継続的支援として専門的知識のみならず常に専門職も生活者の立つ場となり家族介護者の悩みや相談に寄り添い、介護の肯定的側面に働きかけつつ専門機関につなげていく仕組みづくりを2022年3月までに行う。専門的知識の提供としては介護の意味づけを促すなど、福祉職(社会福祉士・ケアマネ)は介護用品や福祉等の社会資源の効果的利用を促し、地域での健康活動や趣味が生かせる場の紹介などをおこなう。またPT,OTからは健康づくりの運動を実践し、栄養についても栄養士や歯科衛生士より介入を行う。これをモデルとして地域住民と多職種支援の役割りの特徴を示す“認知症カフェマップ”を作成し、その前後で家族介護者へのインタビューを実施する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
理由としては、2020年度の旅費および人件費・謝金等、その他の直接経費286,800円が2021年度へ繰り越しとなった。繰越金となった理由として人件費・謝金では新型コロナウイルス感染かう題のため活動支援が中止となったために生じなかった。また関係学術機関での発表はすべてがWeb開催となったために参加費のみで旅費交通費が生じなかった。 使用計画として2020年度の繰越金は2021年度の人件費・謝金に約10万円、旅費に約8万円、その他に約10万円計上する。内訳として、認知症カフェでの介入協力のための専門職への人件費・謝金として計上し、旅費には関連学術機関での発表と認知症カフェ運営協力者の交通費として計上する。その他については会場の使用代金、報告書の印刷費・郵送費に計上し、2020年度の直接経費を予定通り執行する計画である。
|