研究課題/領域番号 |
18K10589
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研究機関 | 帝京科学大学 |
研究代表者 |
大西 奈保子 帝京科学大学, 医療科学部, 教授 (60438538)
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研究分担者 |
小山 千加代 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50597242)
田中 博子 帝京科学大学, 医療科学部, 准教授 (60513976)
田中 樹 帝京科学大学, 医療科学部, 助教 (00804189)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 在宅 / 看取り / 夫 / グリーフ / 訪問看護師 |
研究実績の概要 |
日本の現状においては、配偶者との死別は男性より女性、また、高齢になるにしたがって配偶者と死別する割合が高くなる傾向があり、女性、および高齢者のほうに支援の視点がおかれてきた。しかし、配偶者との死別は、年齢・性別を問わず、 人生においてはストレスフルな出来事であり、悲嘆からの回復には個人差とともに性差も関係していると言われている。先行研究からは、配偶者を亡くした夫は、悲嘆からの回復が遅いと指摘されており、配偶者を看取る夫への支援のが重要になる。 このため、在宅で妻を介護した夫の看取りの特徴と訪問看護師の支援について、妻の存命中から夫婦をケアした経験をもつ9名の訪問看護師へインタビューを行い、その内容をグランデットセオリーアプローチ法を用いて分析した。 その結果、【夫婦のありよう】が在宅ケアの基盤にあり、加えて、妻を介護し看取るという【非日常的生活の継続】を受け入れ遂行する力が夫に備わっていることによって在宅介護が成り立っていると考えられた。 訪問看護師は【夫婦のありよう】に添いながら【非日常的生活の中での看取りを支える】支援を行い、看取りが近づくにつれて【抑え込まれた悲しみからの回復を促す】支援に比重を移していた。また、夫は他者との【つながりの薄さ】を抱えており、介護中は他者とのつながりは夫にとってあまり意味を成さないが、 【抑え込まれた悲しみ】からの回復には欠いてはならず、訪問看護師は夫の【つながりの薄さ】を考慮して、主として【抑え込まれた悲しみからの回復を促す】支援を行っていた。死別後に夫が悲嘆から回復し日常生活の再建に取り組むためには、看取り前の【夫婦のありよう】に添いながら夫婦が望む看取りのあり方を支援していくことが大切であり、その際、夫の悲嘆の特徴を踏まえて、看取り前から看取り後にかけての中長期的なかかわりが、グリーフケアという点からも必要であると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
在宅で妻を介護し看取った経験を持つ夫を妻の存命中から看護した経験のある訪問看護師にインタビューを行い、その内容を質的に分析し、論文にまとめている。現在は、学会誌に投稿中であり、査読後の修正作業を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
本来の計画では、在宅で妻を介護し看取った夫自身へのインタビューを行う予定であるが、対面式でのデータ収集は、コロナウイルス感染の可能性があるため、社会情勢をみながらインタビューを行うかどうか見極めていきたい。今後は、現在、投稿中の論文の修正作業と、方法論の見直し等の検討も行っていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、コロナウイルス感染症の蔓延のため、2020年前半に予定されていた打ち合わせやデータ収集の自粛など研究活動に支障が生じたためである。次年度は、コロナウイルス感染症の状況にもよるが、訪問看護ステーションから対象者を紹介してもらいデータ収集を行う予定である。データ収集が可能であれば、協力者への謝金やデータ処理費に予算を使用する予定である。
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