研究課題/領域番号 |
18K10592
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研究機関 | 日本赤十字豊田看護大学 |
研究代表者 |
清水 美代子 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 講師 (80711168)
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研究分担者 |
眞崎 直子 聖マリア学院大学, 看護学部, 教授 (40548369)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 就労介護者 / 仕事と介護の役割遂行における葛藤 / ワーク・ファミリー・コンフリクト / アセスメント指標 |
研究実績の概要 |
昨年、就労介護者の語りを質的帰納的に分析したが、就労介護者を支援するためには、その結果をアセスメントに活かすことが重要であると考え、計画を見直した。そして、就労介護者の語りをアセスメント項目(質問項目)に活かすために、再度、分析を行った。12名の研究参加者のうち、主介護者9名の語りをデータとし、就労阻害要因と就労継続要因を明らかにした。分析の結果、就労阻害要因は79のコードから、31のサブカテゴリー、13のカテゴリーが抽出された。就労継続要因は、94のコードから、25のサブカテゴリー、8のカテゴリーが抽出された。 さらに、1つの質問紙を作成するために、就労阻害要因と就労継続要因の重複がないか検討し、内容が重複するものは削除、同じ意味内容のものは、統合した。そして、就労阻害要因と就労継続要因を仕事と介護の両立に影響を及ぼす要因としてまとめ、カテゴリーの類似性や共通性からコアカテゴリーを抽出し、最終的に51のサブカテゴリー、20のカテゴリー、6のコアカテゴリーとなった。 51のサブカテゴリーを質問項目とするため、質問項目の表現等検討し、重複を除いた、49のサブカテゴリーをアセスメント項目案(質問項目案)とした。さらに、家族介護者の介護負担感に関連する文献29件と、就労介護者の仕事と介護の両立に関連する文献23件の計52件の文献を検討し、項目を追加したところ、76項目となった。 また、就労介護者の支援者には、働く場から支援できる産業看護職の存在が大きい。そこで、産業看護職3名にアセスメント項目案をチェックしてもらい、項目の順番や表現の修正を行い、アセスメント指標項目案として確定させた。 今年度は、修正デルファイ法を用いてアセスメント指標項目案を精選し、就労介護者を対象とする質問紙調査(本調査、再調査)を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
質的研究の結果をアセスメント項目(質問項目)に活かすために、再度分析を行ったことや、先行研究から項目を追加するために、文献検討を行ったことから時間を要した。 さらに、質的研究結果、文献検討結果から作成したアセスメント指標項目案(質問項目案)の妥当性、適切性を産業看護職3名に依頼し、質問項目の表現や順番などを修正した。 以上の一連のプロセスを経たため、進捗状況としては、遅れ気味になっている。 また、新型コロナウィルス感染症の影響により、今後予定している調査依頼や研究対象者への質問紙の配布なども遅れる可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
ワーク・ファミリー・コンフリクト(WFC)、職場のソーシャルキャピタル(WSC)、健康関連QOLの関連を明らかにすることが目的であるが、その結果を受けて、どう支援するか、誰が支援するかを考えるようになった。就労介護者は、仕事と介護の役割を遂行する上で困難や葛藤を感じている。しかも、介護の協力者がいないことや昇進等の懸念から職場で相談することもせず、離職を決断しているという実態がある。したがって、介護の課題に直面した早い時期に把握して、サポートできることが重要であると考えた。 そこで、研究計画を見直し、就労介護者をサポートできるアセスメント指標を開発することにした。 今年度は、アセスメント指標項目案をさらに産業保健看護専門職の方々に修正デルファイ法を用いて精選してもらい、それを質問項目とした質問紙調査を、就労介護者を対象に行う。プレテスト実施後に本調査を行い、アセスメント指標の安定性を確認するために、再調査を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査対象者を就労介護者にし、予備研究を行ったが、アセスメント指標を作成するという計画の変更が生じたことから、再度分析し、文献検討等を行って、項目の追加や修正を行った。したがって、質問紙調査を行わなかったため、質問紙の用紙や封筒代、印刷代、郵送料等の経費がかからず、次年度への繰越金が多くなった。 今年度は、研究倫理審査委員会の承認を得次第、調査を依頼し、プレテスト、本調査、再調査を行っていく。質問紙の用紙、封筒代、印刷代、郵送料等、使用していく予定である。
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