研究課題/領域番号 |
18K10594
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
後閑 容子 摂南大学, 看護学部, 教授 (50258878)
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研究分担者 |
田中 結華 摂南大学, 看護学部, 教授 (80236645)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 訪問看護ステーション / 第3者評価基準 / 機能評価 / 地域包括ケア / 看護管理 |
研究実績の概要 |
本研究は、現在の社会的環境の変化に対応して、地域医療と地域包括ケアの視点を取り入れ、客観的であり、かつ、活用できる、訪問看護ステーションの機能の第3者評価モデルを開発することを目的とする。訪問看護ステーションは地域包括ケアの第一線機関として重要な役割を担っている。その機能を的確に評価し、かつその資料をデータベース化することによって、訪問看護の現状、効果などを詳細に分析し、訪問看護の質の向上、地域包括ケアの推進に貢献することができる。初年度において、まず、訪問看護ステーションの機能評価の項目を作成し、的確なエビデンスとなる資料を選択することを計画した。研究方法:1.国内外の文献による調査項目の検討。2.訪問看護師、医療機関看護師に対して、デルファイ法を用いて調査を実施。 結果:1.調査項目の検討において、文献レビューを行った。訪問看護ステーションの機能評価では、自己評価が中心であり、第3者評価の指標は数文献にとどまった。内容は、管理的内容と看護の評価になるが、地域包括ケアの視点を取り入れたものは見当たらない。 加えて、看護の質を評価する客観的な指標は見いだせなかった。2.デルファイ法による訪問看護ステーション管理者および所長に聞き取り調査を実施した。その結果、以下のことが明らかになった。1)評価の現状として、介護保険制度における自己評価および訪問看護自己評価、利用者満足度調査は実施しているが、公開していない。2)地域包括ケアシステムに関わる訪問看護ステーションの活動評価項目への示唆。3)訪問看護の質の評価としてのindicaterを考案する必要性。例として、みとりの事例数、特別加算取得状況など。 考察:第3位者評価に用いる指標を作成するための示唆を得た。特に、訪問看護の質の評価として、客観的な指標を開発する必要性があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
進捗状況を「やや遅れている」とした理由は以下のとおりである。1.訪問看護ステーションの第3者評価に関する文献レビューにおいて、諸外国の事情を把握し、参考にする計画であった。しかし、訪問看護ステーションの評価に関する文献数は少なかった。特に自己評価、患者満足度評価における文献はあるが、第3者評価に関するものは希少であった。このために、評価指標を作成する作業が遅延した。2.研究期間初年度(平成30年度)に、訪問看護ステーション管理者へ第3者評価に関する質問紙調査を計画していたが、実施できなかった。デルファイ法による調査は実施できた。特に、地域包括ケアシステムに関心を持ち、地域連携をし、かつ地域貢献活動をしている訪問看護ステーションを選択して、インタビューした。その結果を踏まえ、質問紙調査の内容を構成する計画である。現在、質問紙作成中であり、研究期間2年目(令和元年度)に調査を実施する計画である。
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今後の研究の推進方策 |
研究2年目(令和元年度)計画は以下の通りである。1.訪問看護ステーション第3者評価指標の開発をする。そのために、以下の3つの方法を計画中である。 2.方法:1)質問紙調査を実施して訪問看護ステーション機能評価の第3者評価に関する評価項目を選択する。(1)対象者:訪問看護ステーション管理者、所長など。(2)調査内容:第3者評価に関する意識の現状、評価項目への意見など。(3)調査方法:郵送法もしくはインターネット利用。(4)実施時期:令和31年9月~12月頃を予定。 2)前年度収集した文献およびデルファイ法によるインタビュー結果を参考にした評価項目の選択。研究者が中心となって、評価項目を作成する。 3)米国における訪問看護ステーション機能評価の実際を調査し、参考にする。訪問看護ステーション管理者に聞き取り調査する予定。 研究3年目(令和2年度)計画1.第3者評価指標に関する試行と訪問看護ステーション管理者からの意見聴取をし、第3者評価指標を完成させる。計画2.訪問看護ステーション第3者評価の実践に向けた検討。
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次年度使用額が生じた理由 |
助成金残額が生じた理由は以下のとおりである。 1.計画していた質問紙調査が行えなかった。訪問看護ステーション機能評価に関する文献、特に第3者評価に関する文献は非常に少なく、調査項目を作成する作業に時間を要して、研究初年度に調査を実施できなかった。そのため、郵送費、質問紙印刷費用、結果入力作業のための人件費などを使用しなかった。研究2年目(令和元年度)にこの質問紙調査を計画している。 2.研究成果発表のための費用を使用しなかった。質問紙調査の結果を発表する計画をしていたが、できなかった。質問紙調査を研究2年目(令和元年度)に予定しているので、この結果を学会発表する予定である。
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