研究課題
本研究の目的は、地域ケアにおける多様な関係者の連携推進要素を評価する単一尺度の開発と結果を視覚化するレーダーチャートの考案である。多様な関係者対象の単一尺度の開発が本研究の柱であるため、初年度に文献の再検索を行い、7つの尺度について詳細に検討した。その結果、既存の尺度では、地域の自立した人々への疾病予防・介護予防・健康増進のための連携が想定されていないことを確認した。地域ケアの連携推進に関する概念分析の精度を上げるべく、既存報告書の記述から連携推進に関する事象を質的帰納的に分析、その結果を学会発表し、論文として公表した。平成31年度に再度、「地域包括ケアにおける連携推進」の概念の構成要素と定義を明確にすることを目指したが、令和2年度末現在、論文公表には至っていない。また、地域社会においてケア活動を行う住民を含む多様な人々を対象に、令和2年度にインタビュー調査を計画した。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、調査の具体化段階において見直しを迫られることとなった。対象全員への同時期インタビューが不可欠であるため、地域の関係者と検討し、新型コロナウイルス感染症ワクチンの住民接種の完了を待つこととなった。本研究の助成期間は令和2年度に終了した。しかし、今後の地域包括ケアシステムの深化のためには、新型コロナウイルス感染症拡大前ではなく、むしろ感染拡大後の調査結果の方が重要と考える。今後も本研究を継続し、with Corona時代の「地域包括ケアにおける連携の推進」の研究成果を明らかにし、社会に発信していく考えである。