研究課題/領域番号 |
18K10606
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
守田 孝恵 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00321860)
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研究分担者 |
越田 美穂子 富山県立大学, 看護学部, 教授 (30346639)
山田 小織 福岡女学院看護大学, 看護学部, 准教授 (60369080)
磯村 聰子 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (80437623)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | タイムスタディ / 保健所保健師 / 精神保健業務 / 業務時間量 |
研究実績の概要 |
保健所の精神保健担当保健師は、対象者の不穏な病状や自傷他害行為、近隣苦情などの申告で困難な事例に直面することが多く、バーンアウトの危機も指摘されている。困難事例への対応能力の強化に関し、OJT(On the job Training)の効果が実証される一方、研修等は余分な業務と認識する担当者も多く、業務マネジメント上の課題となっている。 本研究では日常業務を妨げず効果的なOJTを実現する「OJTを組み込んだ業務の展開方法」の確立を目的として取り組んである。初年度に実施したタイムスタディ連続観察法で精神担当保健師の業務の調査結果より、場面ごとに強化された能力とOJTの類似性と時間量の業務モデル集の枠組みを検討した。 困難事例は、自殺未遂による通報事例であった。場面は、保健師同士の相談、既往歴や相談歴の確認、病状確認、家族や医療機関の情報共有、通報処理の進捗状況報告であった。各時間は10分に及ばない時間量であった。それらの場面をOJTの場面としたのは、先輩保健師の積極的なOJTへの意図が考えられた。これらの結果より、業務マネジメントの観点からは、相談ケースの事例管理の方法(既往歴や相談歴を把握できるファイル管理)と、これまでの自殺未遂者の事例検討から、その兆しを把握できる事例アセスメントスキルの向上のための方策の検討、通報業務の手順と報告のタイミングを明記したマニュアルが、業務モデルの内容として必要であることが明確となった。 さらに、保健師業務の相談記録の管理や通報業務の実施記録の管理等、文書管理について文献的に整理することによって、OJTの機能を包含した業務モデルの要素を特定できる可能性があることを考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナ感染対策のため、対象である保健所保健師の研究協力は難しい状況であった。 精神保健担当保健師を対象とした、タイムスタディ事例が集積できていない。しかし、初年度に実施した結果を詳細に分析することによって、業務モデルの素案作成は可能である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の保健所保健師の活動状況を注視し、調査が可能であれば実施する。困難な状況であれば、先に実施して得られたデータを詳細に分析し、業務モデルを業務事例として記述的にまとめる。また、自殺未遂など、業務の対象である精神障害者の病状や対応別に業務が異なるのかといった検討も必要であることが新たに明確化した。新型コロナの感染状況と研究対象者の業務の実態も踏まえ、今後の研究計画についても検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの感染拡大により、対象者である保健所保健師の協力を得ることは困難であった。研究計画を変更し、1事例のデータをもとに業務事例としてまとめる
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