研究課題/領域番号 |
18K10608
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
濱口 和之 大分大学, 医学部, 教授 (60180931)
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研究分担者 |
脇 幸子 大分大学, 医学部, 准教授 (10274747)
三重野 英子 大分大学, 医学部, 教授 (60209723)
小野 光美 大分大学, 医学部, 准教授 (20364052)
森 万純 大分大学, 医学部, 助教 (60533099)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 要介護 / 高齢者 / 介護老人保健施設 / チーム医療 / 糖尿病療養指導士 / Webシステム |
研究実績の概要 |
本代表研究者らは先行研究において、老健施設の施設長や医療スタッフに質問紙調査を行い、要介護高齢者の糖尿病医療の実態を把握するとともに、医療スタッフの糖尿病をもつ要介護高齢者に対する関わりやチーム医療の認識などの現状を調査した。また、老健施設に長期入所する糖尿病をもつ要介護高齢者に対するインタビューの結果から、全人的療養支援の必要性を明らかにした。これらの結果をもとに、老健施設におけるチーム医療のためのWebシステムを開発した。 本研究の目的は、このWebシステムを用いて、老健施設において糖尿病療養指導士(LCDE)の介入によりチーム医療を実践し、この看護・介護モデルの有効性を検証することである。 本年度は、1) Webシステムをさらに使いやすいものへと改良すること、さらにチーム医療実践の前段階として、2)先行研究で明らかにした多職種の関わりの6因子の関連を探り、チーム医療のモデル図を検討すること、3)老健施設でのLCDE連携の可能性を検討することを目標とした。 Webシステムにはさらに情報が盛り込まれるとともに使いやすいものに改良された。多職種の関わりの6因子の関連については、「糖尿病をもっていることへの思いへの関わり」が他5因子全てにパス係数0.14~0.45の範囲で直接影響をしており、医療スタッフの関わりには対象者の思いに寄り添うことが基盤になり、それぞれの専門性を活かしながら食事療法や運動療法に関わることで協働し、目標とする血糖値への関わりを介して退院に向けた支援を行っていた。このことは、チーム医療がうまく機能する素地の存在を示すものであると考えた。また、老健施設のスタッフにおけるLCDEの認知度は40.3%であるものの、スタッフの70.3%が自施設にLCDEが必要との認識を示し、老健施設でのLCDEのニーズが高いことも判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、直ちにWebシステムを実践に応用できる予定であったが、検討したところ、プログラムにいくつかの不備が生じていることが判明し、改良を重ねるうちに時間が経過し、やや遅れが生じることになった。ただし、その間、先行研究のデータの解析をさらに進めることによって、今後、老健施設でのチーム医療・介護の実践に期待が持てる結果を得ることができ、モデル検証のための実践に向けた準備が整いつつあると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、当初計画の第1段階(チーム医療・介護の企画)の途中まで到達しており、チーム医療・介護における各職種の役割がさらに明確になり、実践に向けた具体的方法を施設のスタッフと協議し、検討できる段階に達した。さらに、今年度中に特定の老健施設を選び、タブレット端末を用い、Webシステムを利用して、糖尿病チーム医療・介護を実践する予定である。これら老健施設での実践には、糖尿病療養指導士が介入する計画を立てる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、先行研究のデータの解析に時間を使い、結果の一部を学会で発表したり、情報を集めるために学会に参加したりしたため、研究費は主に学会の旅費に支弁した。その他、書籍の購入、文献の複写に充てた。Webシステムはさらに改良を行ったが、その費用は他の経費で賄うことができたので、余った研究経費は次年度に繰り越した。
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