研究課題
本研究の目的は、育児という長期的視点から、精神障害を持つ母親の育児負担を予防するための、看護職による育児支援の成果を実証的に明らかにし、育児能力形成の看護援助モデルを開発することである。平成30年度は文献研究による成果の検討及び専門家会議の実施により調査内容を明確にし、インタビューガイドを作成した。令和元年度はプレテストを実施しデータ分析によりインタビュー内容の妥当性及びインタビュー方法の信頼性の検討を行い、インタビュー内容の修正を行った。令和2年度~令和4年度は新型コロナウィルス感染拡大の影響により分担研究者間での会議の開催及び本調査の研究が難航したが、令和4年度から本調査の準備を本格的にすすめ、令和5年度前半までに予定していた研究対象者10名(市町村保健師および精神科訪問看護師)への調査(半構造化面接)を終えた。本調査による研究成果は、精神障害を持つ母親の育児破綻を予防するための看護援助の核となるものは、母子が一緒に暮らし、地域での生活を継続できることを中心に置くことが明確になったことであった。また文献研究と照らし合わせた結果、看護職の支援は【母親の状態を総合的に把握し、継続的に支援が必要なケースを判断する】【疾患の状況を考慮し、症状がコントロールできるように服薬や受診を促す】【母親自身が自己の特性を理解できるように関わる】【育児に対する母親の困りごとを解消できるように対応する】【母親の思いや希望に寄り添い継続的に繋がる】【困った時に助けを求められたり、状況の変化に気づき迅速に対応できる態勢を整える】【関係機関と連携する】であった。本研究の文献研究の成果は令和5年12月に学会発表を行った(第42回日本看護科学学会学術集会:於下関市)。令和6年度に本調査結果と統合し、学会での公表を予定している。
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