研究課題/領域番号 |
18K10618
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
石川 志麻 慶應義塾大学, 看護医療学部(藤沢), 講師 (50598919)
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研究分担者 |
藤田 美江 創価大学, 看護学部, 教授 (10233959)
岩瀬 靖子 千葉大学, 大学院看護学研究科, 講師 (20431736)
吹田 晋 慶應義塾大学, 看護医療学部(藤沢), 助教 (30813779)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 地域包括ケアシステム / アウトカム評価 / 医療的ケア児 / QOL / coordinationレベル / 行政保健師 |
研究実績の概要 |
2020年度までに実施したインタビューのうち5施設8人のデータを基に、医療的ケア児とその家族の生活の拡大につながる多職種支援について分析を行った。まず個別事例のデータを①出生~退院まで、②退院後~3歳、③3歳以降~就学前、④就学以降の4フェーズに分け、子どもの社会生活の広がりや保護者自身の時間の確保・意欲向上の局面に着目し、生活の広がりにつながる支援をQOLの向上につながった支援として質的帰納的に分析した。 語られた事例は12事例であった。フェーズ①「家族が退院後の生活を具体的にイメージできる支援」「家族が納得して意思決定できる支援」等4カテゴリ、②「親がどのような子育てを望んでいるのかを捉える支援」「前例がなくても必要なサービス導入を諦めずに交渉する姿勢」「退院時から地域の生活者として当事者を捉え孤立させない姿勢」等7カテゴリ、③「親が納得して意思決定ができる支援」「医療的ケアへの不安を有する新規支援者に対する支援」等9カテゴリ、④「本人と家族のそれぞれの思いを汲んで支援する姿勢」「当事者を中心に関係機関が自律した情報交換ができる仕組みの構築」等5カテゴリが抽出された。 全フェーズを通じ、当事者が望む地域生活を実現するための支援が抽出された。フェーズ③までは親の意向を捉える必要性が高く、④以降は成長に伴い子どもと親の思いと必ずしも一致しないため、それぞれの思いを汲むことが重要である。多職種が関わるが故に支援体制整備が必要になるのは②以降であり、前例がなくても交渉・開拓する姿勢や新規支援者を支える支援も認められた。④では、親から離れて集団生活を送るためには複数の支援者を要し、その連絡調整の中心が親では負担が大きく、当事者を中心としつつ関係機関が自律した情報交換ができる仕組の構築が求められるという特性があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍において対象者リクルート、データ収集が進まなかった。またコロナ禍における大学教育において、予測以上の時間を要したことや、想像を超える感染者数拡大の中、社会貢献として保健所応援に入ったことも研究へのエフォートが下がった一因となった。
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今後の研究の推進方策 |
医療的ケア児とその家族の生活の拡大につながる多職種支援として抽出したカテゴリを、coordinationレベルの地域包括ケアシステムの評価指標項目の原案として研究班にて検討する。その後、医療的ケア児の保護者(当事者)および行政保健師や特別支援学校教諭、保育士など、医療的ケア児と家族の支援に関わる者にインタビューを行い、項目の妥当性を検証を行い、指標項目として精錬する。精錬した指標項目について、医療的ケア児と家族のQOLをアウトカムとして評価する際、どのような示し方をすると多職種で効果的な評価に活用できるかを研究班で検討し、評価ツール作成を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
対面で予定していた会議や調査のほとんどの部分をオンラインに変更したため旅費が削減された。また成果公表の学会もオンライン開催であったため旅費がかからなかった。コロナ禍の影響が大きく、調査が難航したことも使途額が減じた一因である。 今後は、指標案項目の妥当性検証のためのインタビュー調査および文献検討、また成果公表等に向けての使用計画としたい。
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備考 |
ホームページのトピックスにて6th International Conference of Global Network of Public Health Nursingで学会発表したことを掲載した。
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