研究課題/領域番号 |
18K10621
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
三橋 祐子 東海大学, 医学部, 准教授 (10580813)
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研究分担者 |
錦戸 典子 東海大学, 医学部, 教授 (10172644)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 中小企業 / 地域・職域連携 / 健康づくり |
研究実績の概要 |
1.質問紙調査の分析結果を日本産業衛生学会全国協議会で報告 「中小規模事業場の事業主・安全衛生担当者等における地域保健との連携の現状に関する検討」回収率44.0%、有効回答率97.8%。回答者は安全衛生担当者45.6%、事業主13.3%、管理職・管理監督者13.3%、その他27.8%。回答者が受ける従業員自身の相談では、メンタルヘルス不調50.0%、家族の相談では介護37.5%が最も多かった。しかし、これまでに地域保健と連携した経験のある者は8名(8.9%)に過ぎなかった。連携経験者は、保健所・市町村の保健師へ自ら働きかけ連携していた(77.5%)。特に専門職が雇用されていない中小規模事業場の場合、雇用の継続や生産性の維持のためにも、事業主・安全衛生担当者等が地域保健の持つ資源を有効活用することで、従業員の健康支援に積極的に取り組めるよう、地域保健との連携体制の構築が重要である。 2.面接インタビューによる調査の分析結果を日本公衆衛生看護学会で報告 地域保健との連携経験を持つ事業主等12名に対し、半構造化面接法による調査を実施。調査内容は連携のきっかけや内容、メリット等である。連携対象は全て自治体所属の保健師・栄養士等の専門職であった。連携内容は保健師・栄養士が社内に来訪し健康教育を実施した(10件)が最も多く、地域保健主催の地域・職域ネットワークへの参加、従業員のアルコール依存症や親の認知症等に関する個別相談等であった。メリットについて、「健康に関する専門知識や情報の獲得」、「従業員の健康意識・行動の変化」、「産業保健活動を推進しやすい環境の構築」、「地域保健との有効なネットワーク構築」等、7つのカテゴリーが抽出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の研究結果を基に、中小企業の事業主・衛生管理者を対象とした地域保健との連携に関するツールを開発する予定であった。しかし、病気による入院加療が必要となったこと、コロナ禍の影響を受け、ツール開発に向けた関係者間の意見収集や会議等の場の設定が困難であったことなどから予定通りに進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
まず初めに、面接インタビュー対象者へ分析結果の報告と意見収集を行いながら、中小企業の事業主・衛生管理者を対象とした地域保健との連携に関するツールを開発する。ツールの開発においては、長年、中小企業における産業保健活動について研究および活動支援を実践してきたスーパーバイザーのアドバイスを受けて進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
中小企業の事業主・衛生管理者を対象とした地域保健との連携に関するツールの開発に至らなかったため、開発に向けた会議費、ツールの印刷費用を使用しなかった。また、学会の開催がオンラインであったため、成果発表における旅費を使用しなかった。2021年度は、ツール開発を進めるため、会議費、印刷費用等として使用する予定。
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