本研究の目的は、認知症の人が安心して地域の中で生活できるよう、認知症の人の生活状況を評価する「安心尺度」を開発し、その信頼性・妥当性を検討することである。専門職が、この「安心尺度」を実践の場で使用し、安心ではないと評価された項目について支援を提供することで、認知症の人が安心して暮らせる環境を速やかに整えることができると考える。 当初、研究期間は3年間とし、第1段階(2018年度):「安心尺度」の原案作成、第2段階(2019年度):「安心尺度」の開発、第3段階(2020年度):「安心尺度」の有用性の検討を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により研究期間を4年間に延長した。 2019年度は、概念分析の結果から、認知症の人にとっての生活における安心の定義を行った。次に、抽出された「安心尺度」の項目をもとに質問紙(案)の作成、当該分野の専門職に対するグループインタビュー実施による質問紙(案)の洗練化、軽度認知症の当事者を対象にした予備調査の実施により質問紙を完成させた。最終年度である2021年は、軽度認知症の人を対象に郵送法による質問紙調査を実施し、「安心尺度」開発のため統計解析を完了することができた。現在は論文を執筆中であり、今後、学術雑誌に投稿予定である。
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