本研究の目的は,認知症の人の生活における安心を評価する尺度を開発することである.ます,安心の概念分析を行い,それを基に安心尺度原案を作成した.次に,専門職に対するインタビューおよび予備調査の実施により,21項目から構成される安心尺度を開発した.本調査では,軽度認知症の当事者を対象に自記式質問紙調査を実施し,得られた回答は,既存のQOL尺度等とともに主成分分析を実施した.その結果,安心尺度はQOL尺度の測定内容と類似性を示しつつ,「心地よい生活」「生理的欲求の充足」等その独自性が認められ,軽度認知症の人の生活における安心を測定するツールとして有用な客観的指標であることが明らかになった.
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