研究課題/領域番号 |
18K10634
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
古瀬 みどり 山形大学, 医学部, 教授 (30302251)
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研究分担者 |
大竹 まり子 山形大学, 医学部, 准教授 (40333984)
東海林 美幸 仙台青葉学院短期大学, 看護学科, 講師 (90735911)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 訪問看護師 / アドバンス・ケア・プランニング / 在宅高齢者 / 家族 |
研究実績の概要 |
前年度行ったアドバンス・ケア・プランニング(以下、ACP)実施状況に関する訪問看護ステーションへの全国調査の結果を見直し、疑問点などを整理し、詳細な内容を訪問看護師への面談調査で確認した。面談調査では、訪問看護師がかかわったACP 実践で印象に残った事例をいくつかあげてもらい、ACP が必要と判断した理由、ACP の経過、訪問看護ステーションスタッフやその他の在宅ケアスタッフの状況について尋ねた。東北地方の2県に所在する訪問看護ステーションに勤務する看護師10名より調査への協力が得られた。 その結果、地域の在宅医療の状況により、訪問看護師のACP実践にも大きな差があることが分かった。在宅での看取りケアに積極的な在宅医がいる地域では、在宅ケアチームでカンファレンスが定期的にもたれ、ACPが通常の訪問看護業務の中で行われていた。一方、在宅医との意思疎通に距離があり情報交換が思うようにならないケースの場合、訪問看護師の利用者本人や家族への意向の確認も消極的であった。加齢に伴う認知機能の低下や利用者・家族の意思決定能力の低さなど利用者側の問題以外にも、多職種間の連携、在宅ケアスタッフのコミュニケーション能力に関することが数多く課題としてあげられた。 また、面談内容を質的に分析したところ、訪問看護師が要介護高齢者やその家族とのACPを育む様相が認められ、訪問看護の特徴を反映したACP対話ガイド作成の可能性が導かれた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、本年度中に訪問看護師への教育内容の検討とACP対話ガイド作成までを予定していた。ACP自体が国の施策として現在動いている状況にあり、ACPそのものに対する医療・介護従事者による誤解なども指摘されていたため、訪問看護師のACP理解度などを確認しながら、慎重に調査を進めてゆくこととした。
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今後の研究の推進方策 |
すでに調査済みのデータの分析、論文投稿を進めながら、今年度中にACP対話ガイドを作成し、訪問看護師への介入にこぎつけたい。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大により、訪問看護ステーションへの介入が困難となってしまったため、訪問看護師への研修開催は見合わせ、ACP対話ガイド活用のみを依頼することに変更する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究進捗状況がやや遅れ気味のため、前年度購入を予定していたテキスト分析用のソフトウエアを購入しなかったり、学会等における成果発表が計画通りに進まなかった。令和2年度は論文投稿を積極的に行い、成果発表のために助成金を使用する。
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