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2020 年度 実施状況報告書

ICT活用による在宅神経難病療養者の課題解決のための連携システムの構築と効果分析

研究課題

研究課題/領域番号 18K10636
研究機関信州大学

研究代表者

高橋 宏子  信州大学, 学術研究院保健学系, 准教授 (80195859)

研究分担者 中村 昭則  信州大学, 医学部, 特任教授 (10303471)
日根野 晃代  信州大学, 医学部附属病院, 講師(特定雇用) (20596366)
奥野 ひろみ  信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (60305498)
五十嵐 久人  信州大学, 学術研究院保健学系, 准教授 (90381079)
山崎 明美  信州大学, 学術研究院保健学系, 特任講師 (60299881) [辞退]
石田 史織  信州大学, 学術研究院保健学系, 講師 (20710065)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード神経難病 / ICT活用 / 多職種情報共有システム / チームケア / 在宅療養支援
研究実績の概要

令和2(2020)年度は、令和元(2019)年から開始となったモバイル端末等による電子チームケアシステムによる運用を継続的に追い、その効果を蓄積した。研究対象である在宅療養支援に関わっている医師、訪問看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、介護支援専門員等に、2020年は運用後3か月、8か月、12か月時にアンケート調査を行い、その活用状況と見た。経過を追っていく中で、療養者の体調が不安定となり、各ケースとも2回の入院があった。本研究の開始から1年を経過したので、運用前と運用1か月後、3か月後、8か月後、12か月後において行ったアンケート調査と本システム活用状況を入力回数や入力文字数を併せてみたところ、療養者の病状が不安定な時や入院前後において入力回数や文字数の増減が見られた。また療養支援に関する12項目の自己評価を運用前と比較したところ、活用1か月後は、障害状況の理解、チームのやりとりはタイムリーである、活用3か月後は、支援目標をチームで共有している、チームのやり取りはタイムリーである、チームのやり取りは正確である、活用8か月後は、生活状況を理解している、家族の要望を理解している、解決課題をチームで取り組んでいる、チームのやり取りは正確である、活用1年後は、生活状況を理解している、解決課題をチームで共有している、で有意差が見られた。また自由記述の内容分析から、タイムリーな情報のやりとりにより多面的な理解につながる、情報共有しやすく、課題解決に向けてチームでかかわれる、他職種の情報を参考にでき自らの行動が取りやすい、状況の変化に応じたやりとりと活用の可能性のカテゴリーが抽出された。本来の研究目的である「都立神経病院コミュニケーションカルテ【改訂版】」の活用の効果については、療養者のコミュニケーション能力は大きな変化が見られず、活用による効果の評価には至っていない。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

当初、令和2(2020)年の研究計画においては、1.システムの運用を開始する、2,研究対象者に、自記式質問調査、可能であれば聞き取りを行い、システム活用による効果・評価を行う、3.可能であれば、療養者に面談を通して、QOL評価を行う、4.成果を学会や研究会等で発表する、としていた。昨年(2019)、本研究協力対象となる療養者が少なく、また研究対象者の専門職が少数であると報告した。その研究協力対象となる療養者及び研究対象の専門職数を拡大をするための努力はしたが、拡大には至らなかった。さらに本来の研究目的である「都立神経病院コミュニケーションカルテ【改訂版】」を電子チームケアシステムに入れた活用の効果については、今回の療養者のコミュニケーション能力及び方法は大きな変化が見られないこと、また呼吸状態の悪化や療養の場の再考などの他の重要な問題が生じており、専門職がそのシートをあまり活用することに至っておらず、その効果を見ることはできていない。そこで、コミュニケーション支援限定ではなく、療養支援全般において、経過を継続的に追いながら、多職種による本電子チームケアシステム活用における効果と課題についてまとめていきたいと考える。

今後の研究の推進方策

研究期間延長を行い、令和3(2021)年度が最終年度になるが、2019年度から運用が開始され、2020年12月で運用開始から1年が経過した。そこまでの経過を追いながら、運用前後の評価をまとめ、第26回日本難病看護学会で口頭発表を予定している。その後、論文に取りまとめ投稿する予定である。さらに現時点でかかわっている療養者と専門職の経過を運用開始1年半、2年後まで追い、電子チームケアシステムを活用した療養支援、またコミュニケーション支援においても評価をしたいと考えている。さらに、神経難病コミュニケーション支援研修会に参加している専門職対象に、すでに使用している自記式質問紙調査用紙を用いて、療養支援に関する12項目の自己評価を行ってもらい、電子チームケアシステム運用で得られた結果と比較したいと考えている。また電子チームケアシステム運用の今後の効果的な活用として、病院看護師が電子チームに加わることで、病院での退院前カンファレンスの情報や、在宅から入院に至る際の事前情報など、在宅支援者と病院との連携する上でも電子チームケアクラウド活用の効果が予想される。さらにコロナ禍においては3密回避のために関係者全員参加の会議の開催が難しいので、それに変わる遠隔会議としての活用も期待される。それら活用の評価のためのインタビュー調査も予定している。

次年度使用額が生じた理由

当初の計画では、研究協力していただく療養者、研究対象の専門職を複数名を予定し、モバイル端末等の購入や情報通信に係る費用を想定していた。しかしながら、研究協力していただく療養者及び、専門職が確保できず、モバイル端末等の購入や情報通信に係る費用を要しなかったこと、また専門職には、すでに自分のモバイル端末等を使用できるとのことで、その購入のための費用や情報通信に係る費用が不要となった。また、当初の計画では、「都立神経病院コミュニケーションカルテ【改訂版】」を既存の電子チームケアシステムに入れ込み、運用してもらい、それを評価しながらソフトを修正するための予算を計上していた。しかしながら、研究協力をいただいている療養者のコミュニケーション能力及び手段は、研究期間内では大きな変化はなく、専門職による「都立神経病院コミュニケーションカルテ【改訂版】」の活用がされておらず、修正に至っていないので、費用も発生していない。最終年度(2021)は、神経難病コミュニケーション支援研修会の参加者を対象に療養支援に関するアンケート調査を依頼し、電子チームケアとの比較分析を予定している。そのための予算付けを行う。コミュニケーション支援に関する機器等の開発は進み、変化している。それを反映した「都立神経病院コミュニケーションカルテ【改訂版】」の修正と、活用につながる方法を加えるための予算を計上する予定である。

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公開日: 2021-12-27  

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