研究課題/領域番号 |
18K10643
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
森田 牧子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (70582998)
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研究分担者 |
渡邉 多恵子 淑徳大学, 看護栄養学部, 教授 (30598636)
森 真喜子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 国立看護大学校 教授 (80386789)
青山 美紀子 亀田医療大学, 看護学部, 講師 (80582999)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 精神科訪問看護 / 精神障害者 / 在宅 / 虐待 / 不適切な支援 |
研究実績の概要 |
2018年度は、虐待予防プログラムの作成に向けて文献における検討と訪問看護師インタビューを実施し、適切な支援状態にある利用者への介入内容検討を行った。 1)「虐待予防の介入」に関する国内外の文献から概念分析を行い、看護介入に必要な構成概念を抽出した。対象となる概念を「虐待予防 abuse prevention」として、文献検索を行った。対象となる学問分野として、看護学、心理学、医学、社会福祉学の4分野を選択し、検索は辞書、医学中央雑誌、CiNii、PubMedを用いた。372件が抽出され、そのうち削除文献を除いた25件とハンドサーチによる16文献を追加した41件を和文献の分析対象とした。分析方法にはWilsonが提唱した方法論を基盤としたWalker & Avantの概念分析のアプローチ法を用いた。属性には5カテゴリ、先行要件には4カテゴリ、帰結には4カテゴリが抽出された。 2)精神科訪問看護師10名を対象に、①で抽出された概念をもとに半構造化面接を行った。「不適切な支援状態にある精神障害者に対する介入、改善がみられた事例、悪化した事例」について介入前の支援状態を【在宅精神障害者の介護状態評価尺度】で評価した。2)のデータについては現在分析中である。今後はこれらの分析をもとにアセスメント、介入内容を評価する。 3)基礎データとして参考にしている、全国訪問看護事業協会に登録している訪問看護ステーションの訪問看護師を対象とした自由記載質問紙調査(配布数473枚で回収数は136枚)をまとめ、論文投稿した。内容は、訪問看護師が虐待まで至らない不適切な介護に対応する中で生じる困難感について、その実態を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1)「虐待予防の介入」に関する国内外の文献から概念分析 対象となる概念を「虐待予防 abuse prevention」として、文献検索を行った。対象となる学問分野として、看護学、心理学、医学、社会福祉学の4分野を選択し、検索は辞書、医学中央雑誌、CiNii、PubMedを用いた。372件が抽出された。そのうち重複文献や、内容に「介護者」、「支援者」、「ケア」、「虐待」に関する記述がないもの、また在宅に関連しない領域、工学、薬学領域の文献を除いた25件とハンドサーチによる16文献を追加した41件を和文献の分析対象とした。分析方法にはWilsonが提唱した方法論を基盤としたWalker & Avantの概念分析のアプローチ法を用いた。属性には5カテゴリ、先行要件には4カテゴリ、帰結には4カテゴリが抽出された。本結果については学会発表予定であり、1)については概ね順調に進展している。 2)訪問看護師へのインタビュー 機縁法により10名の訪問看護師に半構造化面接を実施した。平均インタビュー時間100分、管理者である看護師が対象であった。現在、データ内容を分析中である。分析結果を共同研究者と検討し、ケアプログラムの素案に向けて項目内容を精選する予定である。項目内容は訪問看護師にフィードバックし、意見を頂く予定である。以上より、進捗状況は当初の予定よりやや遅れていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
1)現在までの進捗状況と理由で述べた通り、一部はやや遅れている状況である。共同研究者はいずれも多忙なため、一堂に集まる場や機会が十分確保できない状況にある。そのため、看護学会等への参加に付随して開催するなどの工夫をし、情報共有と研究課題の検討に努めるとともに、それ以外の手段も用いて意見交換及び研究を進行していきたい。上記の状況に伴い、予算執行が計画通りに行っていないところがあるものの、今後は研究計画に沿った活動を実施したい。 2)2018年に実施したインタビュー調査は、本年度中に分析を終了し、研究者間でケアプログラムの項目の抽出を行う。また、項目は訪問看護師にフィードバックして項目の洗練化を行う。作成したプログラムは、訪問看護師を対象にフォーカスグループインタビューを行い、実用化に向けた項目の洗練化を目指す。 研究の進捗については、学会等の開催に合わせた計画を早期に作成できるようにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度は、文献検討と訪問看護師へのインタビュー調査を実施した。研究分担者はいずれも多忙を極めていることから、一堂に集まる場の確保が難しく、web会議等で研究会を開催した状況である。そのため、旅費に関する費用はほとんど使用しない結果となった。 2019年度は前年度の反省を鑑み、学会等で研究会を開催する予定である。また、今年度は質的調査結果をプログラム項目として検討する研究会や訪問看護師へのフィードバックの開催、訪問看護師への項目検討についてのフォーカスグループインタビューの実施、プレテストの実施を予定しているため研究計画に沿った経費使用に努めたい。
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