研究課題/領域番号 |
18K10652
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
榎本 佳子 順天堂大学, 保健看護学部, 講師 (20637102)
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研究分担者 |
藤尾 祐子 順天堂大学, 保健看護学部, 准教授 (60637106)
小平 めぐみ 国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 准教授 (00611691)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 包括的排泄ケア / ICT / 自立支援 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
本邦は超高齢社会となり、高齢者の自宅での生活の継続と尊厳を支援する地域包括ケアシステムの構築が喫緊の課題となっている。自宅生活の中でも、特に「排泄」は高齢者の自立と尊厳を維持する大きな鍵となる行為である。しかし、医療機関から在宅まで継続した排泄自立ケアの連携は寸断状態であり、アセスメントからケアまでを包含する情報共有ツールが存在していない。そこで本研究は、各機関における排泄自立ケアの課題を明確化し、多機関が連携して排泄自立ケアを実践できるICT化された包括的排泄自立ケア連携プログラムの開発を目的とする。 平成30年度は、介護保険施設における排泄自立ケアプラン作成に関する課題を明確化することを目的とした。【方法】全国の居宅介護支援事業所、介護老人保健施設、介護老人福祉施設から各500施設を選定し、常勤で勤務するケアプラン作成担当者(計1500名)に対して無記名自記式質問紙調査を実施した。調査内容は、「排泄ケアプラン作成時の情報用紙の項目」、「排泄ケアプランの具体的内容」、「排泄自立ケアプラン作成時の課題」、「多機関との連携状況」とした。【結果・考察】介護保険サービスにおける排泄自立ケアプランは、サービス種別によりケアプラン立案や情報収集項目の内容に違いがあることが明らかとなった。この背景には、介護報酬や施設の役割、利用者の状況等が影響していることが示唆された。また、多機関との連携については、居宅介護支援事業所のケアプラン作成担当者が有意に連携が図れており、介護保険施設における多機関連携の課題も明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は、多機関が連携して排泄自立ケアを実践できるICT化された包括的排泄自立ケア連携プログラムの開発である。そのため、平成30年度は各機関における地域連携の課題を明確にすることを目標とした。 当初は、排泄ケアに主に関わっているスタッフを対象に全国調査を実施する予定であったが、文献検討を進める中で、介護保険サービスの要となるケアプランにおいて、排泄自立にむけたケアプラン作成がどのように行われているか、まずはそこから明らかにすることが必要であるという見解に至った。そのため、実際にケアを実施しているスタッフの排泄自立ケアへの取り組みは、31年度に実施することとした。そのため、進捗状況にやや遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は、介護保険施設において排泄自立ケアを実際に多職種でどのように支援しているか、その具体的な内容について明らかにする。対象施設は、「在宅復帰率50%超」、「ベッドの回転率10%以上」など、より在宅復帰を目指して厳しい条件を満たしている在宅強化型老健とし、そこで常勤として勤務している多職種を対象とする。調査方法は、関係者のなまの声を体系的に整理でき、新しい考え方や解決の方法を創造できるとされているグループインタビュー法を用いて実施する予定である。そこから、要介護高齢者の排泄自立を促す支援への示唆を得ることとし、最終的には、地域包括ケアシステムの構築に寄与する多機関・多職種協働モデルの生成を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度、アンケート調査回収集数が当初見込んでいたものから20%程度少なかったため、次年度への繰り越し使用額が生じてしまった。 平成31年度は、今回行った実態調査をもとに、より自立支援に取り組んでいる在宅強化型老健を全国より3施設選定し、排泄自立を目指して実際に多職種でどのように支援しているか、その具体的内容についてグループインタビューを実施する予定である。そのため前年度予定した予算は、次のように今年度支出し、データ収集・分析を行っていく。使用内訳は、物品費(ICレコーダーなど)、旅費(インタビュー調査交通費、学会発表など)、人件費(調査に伴う謝金など)、その他(協力者謝礼、会場費など)とする。
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