研究課題/領域番号 |
18K10656
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研究機関 | 日本赤十字看護大学 |
研究代表者 |
内木 美恵 日本赤十字看護大学, 看護学部, 准教授 (50712543)
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研究分担者 |
守田 美奈子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (50288065)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 原発災害 / 避難生活 / 母親 |
研究実績の概要 |
平成30年度の研究計画としてあげた研究1:「母親へのナラティブ・アプローチによる発災後8年~10年の移動先での体験と支援ニーズの検討をする。」に関する研究活動として、インタビュー対象者の状況把握と募集方法を検討した。まず、2011年の東日本大震災による原発事故災害で当時避難を余儀なくされた浪江町町民であった母親2名を訪問して、現在の生活について話を伺った。2名は、6年前にインタビューを行っている者である。2名とも子どもが3人に増えていた。住宅も借り上げ住宅からそれぞれが購入した一軒家であり、核家族であった。隣人との交流を始めてはいたが、自身が原発避難住民であることを他者には話したくないと語った。インタビューを受けることに関して、承諾をいただいた。また、福島県いわき市で母親を支援している助産所の助産師からも話を伺った。相談に来る母親は、友人が作れないと訴える者が多く、いまだに地域に溶け込めずにいる者がいるということであった。避難した地域で友人を作っても、自身が原発避難住民であることは話したくないと言っているとのことであった。この助産師からも母親たちを紹介していただくようお願いした。以上の活動から、避難している母親たちは、自身が原発避難住民であることを他者に話すことに躊躇しており、なんでも相談できる相手がいないことが予測された。次年度は、最近の原発事故被災者である母親たちに関する文献検討をまとめる。その後、このような母親たちに、現在の生活についてインタビューを開始し、不安や苦痛の原因を探索する。同時に、このような母親たちの交流の機会を作り、支援を行いながら、承諾を得られた者にインタビューを行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度の研究計画としてあげた研究1:「母親へのナラティブ・アプローチによる発災後8年~10年の移動先での体験と支援ニーズの検討をする。」に関する研究活動として、今年度はインタビューを行う。 原発事故被災者の母親たちから信頼を得て話を聞くためには、関係づくりが重要である。個人的インタビューを受けてくださる方2,3人の目星がついたことに加えて、その他にも母親を集めるために交流会の企画もできつつある。よって次年度は交流会開催により支援をかねてインタビュー参加者を募ることが可能となるため、インタビューを実施する。
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今後の研究の推進方策 |
今年度、母親たちのインタビューを行う予定である。そこで、可能であれば、①チェルノブイリ原発事故により避難を強いられた母親たちから話を聞く機会を作る。目的は、東日本大震災時の原発事故被災者である母親たちにインタビューの参加をお願いしながら、母親たちがこのようなチェルノブイリ原発事故災害の経験者から話を聞いて自分たちの対応に役立てることができるよう支援するためである。話をしてくださる母親は2018年ウクライナ訪問時に会った母親を予定している。 また、上記インタビューが難しい場合は、②ベラルーシ国側のチェルノブイリ原発事故により避難を強いられた母親たちから、避難後や現在の生活の困難さなどをインタビューしながら明らかにしたい。目的は、ウクライナ国とベラルーシ国では除染への対応が違っており、避難生活も違うことが予測されるからである。こちらの母親たちとも繋がりをもち、日本の福島原発事故被災者への支援に役立てたい。具体的には交流会などの開催時に招聘するなどを考えている。 ①ができなかった場合のもう一つの方策としては、③国内で母親たちの交流会としての支援を企画し、実施したい。 ①、③による支援からインタビュー対象者との信頼関係をつくり、募集を行う。②により、先に起こった原発事故災害に関する母親たちの状況を学び、福島原発事故被災者に役立てる。
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次年度使用額が生じた理由 |
交流会を行い支援をしながらインタビュー対象者を探す予定だったが、開催しなかったために予算金額を執行できなかった。今年度は、交流会の開催を1~2回、インタビューとして10人程度、ウクライナからチェルノブイリ原発事故被災者の母親1名招聘またはベラルーシを訪問し母親達にインタビューを行う。この他に、国際学会に参加し、これらに関する研究の状況を把握する。
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