研究課題/領域番号 |
18K10656
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研究機関 | 日本赤十字看護大学 |
研究代表者 |
内木 美恵 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (50712543)
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研究分担者 |
守田 美奈子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (50288065)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 原発災害 / 強制移動 / 母親 |
研究実績の概要 |
2019年度の後半で、インタビューなどを計画し、進めかけていたが、新型コロナウイルス感染症の蔓延が国内で始まり、実施できなかった。2020年度は、昨年度できなかった「目標1:母親の発災8年~10年後の移動先での体験に基づき支援ニーズを明らかにする」を行うことを計画していた。しかし、新型コロナウイルス感染症の蔓延が国内で広がり続け、緊急事態宣言が発出されるなどし、計画したことを実施する直前で中止となってしまった。データ収集はインタビューで行うことにしており、このインタビュー前に、交流会を実施し、参加者を募集し、関係性を作ることを企画していたが、これらが実施できていない。WebでZoomなどのツールを使用し、インタビューを行うことも考え、研究参加者である30代の母親達に説明を行った。しかし、Zoomなどのツールに関して使用経験がほとんどなく、育児など子どもの世話の時間を割いてまで参加する協力は得られなかった。また、データの流出などを防ぐために、free-WiFiの使用をせず、自宅のネットなどにつなぐことを説明したが、自宅にネットを引いていない方もおられた。 また、原発事故により避難を強いられた市町村で、帰宅困難地域を有する町を訪問し、9年目の状況を報告したいと計画した。これに関して、該当する町の保健師と訪問を調整し、同行して説明いただくことも予定していたが、新型コロナウイルス感染症蔓延拡大で実施できなかった。 2021年度は、予防接種を受けた後、現地を訪問し、交流会、インタビューを実施したいと考えている。予防接種がいつできるか不明であるが、政府の見解から、年内には接種できると思われるため、接種後、実施を計画する。また、10月までに、予防接種の予定が立たないようであれば、Webでのインタビューを行うように、母親達にも協力を得ていく。予防接種を受けた後に、帰還困難区域訪問も実施したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度は「目標1:母親の発災8年~10年後の移動先での体験に基づき支援ニーズを明らかにする」を行うこととしていた。しかし、新型コロナウイルス感染症の蔓延が広がり続け、4月に緊急事態宣言が発出される状況となった。本務である大学での授業がすべてWebになるなど、これまでにない対応を迫られ、大学業務を行うことに時間を費やされた。秋以降感染者が減少していく状況から、実施できると考え、準備をした。しかし、12月から再び感染者が増え、実施する直前で、中止せざるをえなかった。その後も変異型ウイルス蔓延等により、感染者が劇的に減少することはなかった。データ収集にあたっては、交流会を実施し、参加者を募集し、関係性を作り、インタビューを行うようにしたいと考えていた。しかし、これらは、感染者が減少したからと言ってできるものでなく、冬頃からは、感染者が多数出ている東京からデータ収集希望地に行くことを拒まれるなどがあり、直接対面でのデータ収集をさらに困難にした。1月頃から、WebでZoomなどのツールを使用してインタビューを行うことも考え、研究参加者である30代の母親達に説明を行った。しかしZoomなどのツールに関して使用経験がほとんどなく、家事などの都合もあり参加協力は得られなかった。 また、原発事故により避難を強いられた福島県の被災市町村で、帰宅困難地域を有する町を訪問し、9年目の状況を報告したいと計画していた。町および保健師に訪問の承諾を得て、日程を調整している矢先に、コロナ患者が増え始めた。加えて、東京から来ることを拒まれたため、行くことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度であるため、「目標1:母親の発災8年~10年後の移動先での体験に基づき支援ニーズを明らかにする」を達成するため、対象者への交流会、インタビューを実施する。方法は二通りを考えている。1つ目は、自分自身が新型コロナウイルス感染症の予防接種を受け、福島県に行き、交流会、インタビューを行う。2つ目は、Webでのインタビューとして、Zoomを使用して行う。国内の感染状況及び、予防接種状況をみながら、方法を決めて実施する。交流会は、研究参加者である母親達の予防接種状況を確認して実施する。希望者が少ない場合、予防接種を受けてない場合は、開催しないようにする。インタビューだけで実施する場合は、関係性が築けていないため、2回から3回のインタビューを行う。インタビューにあたっては、自身が予防接種を受けた後に実施する。感染予防として、インタビュー時には、できればN95マスクを準備し、隙間の無い様に装着し、フェイスシールドをする。部屋は2方向の窓を開け、相手との間隔を1メートル以上を空け、二酸化炭素濃度を計測しながら実施し、必要時、換気のためにサーキュレーターを回す。インタビューの前後では、アルコール消毒を行う。Webで行う時にはZoomなどのツールを使用し、free-WiFiを使用することがないよう、自宅のネットまたは携帯WiFiを使用するようにする。パソコンなどがない場合には、こちらから貸し出しなども行う。 また、発災から10年が経過しているので、期間困難地域を車で訪問し、様子を視察し、報告書としてまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、緊急事態宣言などが発出され、自宅に留まらざるをえなかった。加えて、東京のコロナ感染者が多いことから、東京から他県に行くことで、ウイルスを持ち込むようなイメージを持たれ、出張することを敬遠された。この他に、大学での教育形態が、Webに急遽変更になり、授業準備や学生対応に追われ、研究時間を捻出することが困難であった。これらにより直接対面でのデータ収集ができなかった。Webでのインタビューも試みたが、対象者の準備状況が整っておらず実施はできなかった。 2021年度の計画は、対面での交流会、インタビューができないか引き続き模索する。直接対面での交流会などを行うために、新型コロナウイルス感染症の予防接種を受ける。その上で、マスク、フェイスシールド、アルコール消毒などを行う。3密を避けるため、二酸化炭素濃度を測定しながら、必要時には換気とサーキュレーターなどによる送風を行う。また、11月頃までに直接対面インタビューの実施の可能性が見えなければ、Webでのインタビューを行う。そのために、対面でのインタビュー準備と並行してWebツールでの準備を行う。Webで行う場合は、パソコンの貸し出し、Webカメラ、マイク、レンタルWiFiの提供を行う。帰還困難区域訪問にあたっては、保健師に同行を依頼してレンタカーなど自動車で実施する。
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