研究課題/領域番号 |
18K10656
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研究機関 | 日本赤十字看護大学 |
研究代表者 |
内木 美恵 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (50712543)
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研究分担者 |
守田 美奈子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (50288065)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 福島第一原発事故災害 / 強制移動 / 母親 |
研究実績の概要 |
2021年度は、新型コロナウイルス感染症が蔓延する中で、予防接種を受け、現地の状況をみながら研究を進めるよう計画した。 まず、原発事故により避難を強いられた市町村で、帰還困難区域を有する町への訪問である。新型コロナウイルス感染状況がおさまっていた12月に浪江町を訪問した。浪江町は、平成29年から役場を浪江町に移動させ、本格的な帰還を開始している。現地では保健師が、避難者が多い地域をカバーしながら、浪江町での活動を行っており、帰還町民はまだ少ないが、少しずつ前に進んでいた。しかし、保健師のインタビュー等ができなかった。 次に、「目標1:母親の発災8~10年後の移動先での体験に基づき支援ニーズを明らかにする」に関するインタビューである。インタビューを行うために交流会を開催する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の蔓延で、県をまたぐ移動が難しく、現地に行くことができなかった。Web会議システムを活用して行おうと母親達に連絡を試みたが、コロナ禍で子どもが自宅での学習になったことで自宅でのネット環境を保つ必要や子どもの世話に追われて、インタビューに応じる母親を探すことができなかった。 2022年度は、上記の浪江町に再度訪問をし、保健師のインタビュ―などのデータ補充を行い、報告書にまとめる。また、母親へのインタビューに関しては、知り合いから母親を紹介して頂くなど便宜的研究参加者の募集を行い、少人数でも話を聞けるよう進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度も新型コロナウイルス感染症の蔓延で、県をまたぐ移動が制限され、自身が所属する大学でのコロナ対策基準などでも移動ができない時期が晩秋まで続いた。加えて、大学では授業をWebで行いながらも、状況が許せば対面で行いたいと考え、Web、対面の2種類の授業準備に追われ、研究の時間を捻出することが難しかった。 「目標1:母親の発災8~10年後の移動先での体験に基づき支援ニーズを明らかにする」に関するインタビューは、春には交流会を開催する計画をしたが新型コロナウイルス感染症の蔓延で実施できなかった。冬に向けてWebでの交流会開催のために、母親達に声をかけたが、開催時期には小学校での感染者数が多くなり、子どもが自宅学習となった。そのため、Webでの交流会に参加する時間を取れる母親がおらず、インタビューの対象者を探すことができなかった。 また、原発事故により避難を強いられた市町村で、帰還困難区域を有する町への訪問に関しては、半日だけ浪江町に行く機会を得て、訪問した。津島地区などの帰還困難区域を訪問したが、訪問決定までの時間が短かった為事前に保健師にインタビューの依頼をできず、また滞在時間も短かった為、保健師などから話を聞くことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度が最終年度である。「目標1:母親の発災8~10年後の移動先での体験に基づき支援ニーズを明らかにする」に関するインタビューについては、インタビューを実施し分析の後、まとめて学会での発表を行いたい。母親のインタビューに関しては、新型コロナウイルス感染症蔓延に波があるため、波が低くなる時期を見計らって、インタビューを行う。交流会を開催して、研究参加者を募集する予定であったが、交流会は開催せず、知人を介した便宜研究参加者募集を行う。可能な限り、インタビューは対面で行う。対面ができない場合は、Web会議システムで行う。Web会議システムで行う時には、研究参加者の希望に沿って、PC、Wi-Fi、Webカメラなどを貸し出す。子どもが小学校に通っていることが予測されるため、学校に行っている時間等を見計らって行うなど、家事や育児に配慮する。対象者が少数でも実施する。 また、原発事故により非難を強いられた市町村で、帰還困難区域を有する町への訪問に関しては浪江町に再度訪問し、保健師の話を伺い、発災直後の状況、現在の仕事の困難さなどをまとめて学会などで発表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は新型コロナウイルス感染症の蔓延により、県をまたぐ移動が制限され、自身が所属する大学でのコロナ対策基準などでも移動ができない状況があった。加えて、秋以降は子どもの感染が目立ち、自宅での学習に切り替える状況があり、母親が自宅でWeb会議システムを使用しての交流会ができず、インタビュー対象である研究参加者の募集ができなかった。また、浪江町に行ったものの、急遽決定したため、保健師へのインタビューなどができなかった。 2022年度は、母親へのインタビューを対面で行う。対面の場合は母親が希望する場所で行い、個室の確保が難しい場合は、ホテルの一室で行うなどする。対面が無理な場合は、Web会議システムを使用する。Webで行う場合は、PC、Wi-Fi、Webカメラの貸し出しを行う。インタビューデータを分析しまとめて、学会で発表する。原発事故により避難を強いられた市町村で、帰宅困難地域を有する町での様子として、浪江町の保健師から発災直後の様子や現在の仕事の困難さなどをインタビューし、昨年訪問した時のデータに加え、まとめて学会で報告する。大まかな費用として、Web会議システム機器の貸し出し輸送費、対面インタビューや浪江町訪問のための旅費、インタビュー参加者への謝品等に関する謝金、インタビューの会議室賃貸料等、データ整理のための委託費等、その他研究遂行に係る費用や消耗品費等を予定している。
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