研究課題/領域番号 |
18K10657
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研究機関 | 東京医療保健大学 |
研究代表者 |
山之井 麻衣 東京医療保健大学, 医療保健学部, 講師 (10538151)
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研究分担者 |
三輪 律江 横浜市立大学, 国際教養学部(都市学系), 教授 (00397085)
阿部 桃子 東京医療保健大学, 医療保健学部, 教授 (80347195)
谷口 新 横浜市立大学, 都市社会文化研究科, 客員研究員 (40445185)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 共食 / 高齢者 / GIS / ソーシャルキャピタル |
研究実績の概要 |
現在の65歳以上の高齢者は、時代背景を踏まえると性別分業の影響を大きく受けており、人がどのように暮らしてきたかといった特性傾向を踏まえた視点は、家庭外共食をとらえる上で重要であると考えられた。男性においては、有料の家庭外共食は重要な社会資源であるものの、経済的な脆弱になったときに関わりの基盤を失いやすい対象特性が見えた。また、高齢者はこれまでの仕事や地域活動を踏まえて家庭外共食が形成されている可能性もあり、高齢者全体の実態調査の必要性がある。家庭外共食は改めて先行研究レビューで把握されたような単年度の地域システムによるアプローチだけでは難しく、時間をかけた継続性のあるアプローチの重要性を裏付けることとなった。家庭外共食を構成するものはどのようなものであるか、家庭外共食を発現する要素とともに把握する必要性があると考えられた。 そこで、これまでの知見を用いて評価指標を作成し、都市部在住の65歳以上の地域高齢者が参加している家庭外の共食を知っていて、語ることが可能な方を対象に、webによるアンケートで実施をした。 高齢者にとって、身体的な背景を考慮すると立地やアクセスが最も重要であることが裏付けられた。高齢者の行動圏域がある程度限られる傾向にあり、そのことを見据えたアプローチが必要である。また、家庭外共食の場はなじみのある所に集約されやすく、その社会資源としての配置は、広報や立地といった側面と家庭外共食の構成要素である空間環境、ひと社会とのコミュニケーションなどとのバランスをとることも重要であることが考えられた。高齢者の多くは金銭的な対価に基づく家庭外共食が中心で、都市部の高齢者には有利な側面が確認されたが、少額や無料の家庭外共食といった従来の社会資源の活用に課題が残されていると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度まで新型コロナウイルス感染症蔓延により、調査先の延期や中止など対面でのデータ収集が出来ていなかったが、調査方法も感染リスクを低減した方法に変更し、インターネットを利用した質問紙の修正を加えた。変更にあたり、倫理的な配慮と調査対象者となる高齢者の特性を研究者間で議論し、研究目的を踏まえて2020年度は再整備したことで、2021年度研究活動の推進につなげることが出来た。また、新型コロナウイルス前後の比較実態調査を追加し、計画修正を行った。2021年度は、収集したデータを回収し(外部委託)、当初の計画に軌道修正することが出来た。2021年度はさらにデータ追加を分析を進めたが、専門的な分析を要することから、2021年度後半からGISの専門的知識を持つ研究者を招聘し、当初の計画通り概ね順調に進展をしている。
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今後の研究の推進方策 |
大規模調査から得られた結果から、共食を促進する従来の社会資源の活用に課題が残されていると考えられた。またコロナに伴う、現状も確認できたことから、これまでのデータをGISを用いて再分析を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019-2020年度の調査の遅れを取り戻すために調査方法を抜本的に変更し、調査手法を変更(web調査やオンラインなど)した。その結果、使用予定だった旅費や調査に必要な物品や調査員雇用、調査協力者への謝礼の必要がなくなり、出費が抑制された。 分析や2022年度に行う学会発表等に必要な諸費用を別の研究費で補填をする予定であったが、本研究費を利用し対応をすることとした。
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