2018年度は、「日本国内の訪問看護における医療事故とリスクマネジメントの現状と医療安全に関する教育ニーズ」の研究を行った。その結果、訪問看護ステーションの管理者によると、家族介護上のインシデントとアクシデントは訪問看護師と同様な発生傾向で、転倒、服薬や爪切り等に伴い発生しており、家族介護者が安全を確保する上での心理的負担感があることが確認できた。また、訪問看護師による家族指導は実施されているが、今後さらに、家族介護者への安全確保のための知識やスキルを高める教育的関わりを行う必要性が示唆された。これまで、訪問看護師が家族介護者への安全確保のための知識やスキルを高める教育 的関わりに関する研究はほとんどなかった。そこで、2019年度は、長年の経験を積んだ熟練訪問看護師の家族介護者への安全確保のための優れた教育的関わりを、質的に明らかにすることを目的として、熟練訪問看護師にインタビューを実施し、質的記述的研究に取り組むことにした。熟練訪問看護師の家族が療養者介護を安全に行うための教育的関わりは、信頼関係形成を土台に展開されており、起こりうるリスクの予測と説明、その対処、事故が起こった時の対処というリスクマネジメントを行っていた。これらの具体内容は家族が療養者介護を安全に行うために重要な内容であり、今後、家族への教育のプログラムの開発が望まれた。最終年度は、家族への教育プログラムの開発を行った。開発した二部構成のプロクラムは、精度を高めるために看護教育や看護管理の責任者経験を持つ在宅看護の研究者による助言等を得て修正し、研修内容と方法を確定した。
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