研究課題/領域番号 |
18K10661
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研究機関 | 広島文化学園大学 |
研究代表者 |
棚崎 由紀子 広島文化学園大学, 看護学部, 教授 (50461356)
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研究分担者 |
奥田 泰子 広島文化学園大学, 看護学研究科, 教授 (30330773)
眞鍋 瑞穂 人間環境大学, 松山看護学部, 講師 (30805601) [辞退]
羽藤 典子 人間環境大学, 松山看護学部, 准教授 (50626489)
吉村 裕之 人間環境大学, 松山看護学部, 教授 (70093945) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 後期女性高齢者 / 冷え症 / 下肢触圧刺激 / 立位姿勢調節機能 / 転倒予防ケア技術 |
研究実績の概要 |
下肢に冷え症状のある後期高齢女性(冷え症高齢者)は,加齢変化とともに,立位姿勢調節に重要な足底からの圧感覚情報の低下によって不安定な立位姿勢となり転倒に直結すると推測されている。転倒対策は介護予防の喫緊の課題になっている事から,本研究では,冷え症高齢者の姿勢調節機能および足部の感覚機能等を明らかにし,下肢の触圧刺激(フットマッサージ)が転倒予防ケア技術となりえるか,その有用性の検証を試みた。 測定項目は,冷え症状の評価として皮膚温(AC210:オムロン),末梢血流量(ATBF-LC1:ユニークメディカル),動脈硬化度(VS-1500A:フクダ電子)。静的バランス能力として重心動揺(GP-7:アニマ),動的バランス能力としてFRT,足部の感覚機能は温・冷覚(UDH-300:ユニークメディカル社),フィラメントによる触圧感覚等を測定した。当初予定していた冬季と夏季の差異については,COVID19感染の影響により遂行できず,冷え症高齢者17名,健康高齢者12名の検証に留まった。 冷え症高齢者は,健康な高齢者に比べて末梢循環血液量は低値で,足部は「温かさ」に対して鈍感であった。また冷え症高齢者の重心動揺は有意に増大していたことから,冷え症状は転倒要因の一つと示唆された。次に,冷え症高齢者に対する20分間のフットマッサージは,血圧,脈拍の低下,末梢血流量の増加,皮膚温の上昇につながった。さらに冷えに対する温度感覚の感受性が向上することが示唆された。しかし,対象者数が少なく,フットマッサージによる静・動的バランス能力の変化は認められなかったことからも転倒予防に繋がる看護ケア技術構築の十分な検証であったとは言い難い状況である。今後は対象者数を増やし,継続した長期に渡るフットマッサージの検証について取り組む必要があると考えている。
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