研究課題/領域番号 |
18K10678
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
菊池 真 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20404585)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ミトコンドリア / 末梢神経 / OGD |
研究実績の概要 |
血流障害による低酸素・低グルコース(OGD)は末梢、中枢を問わず、神経細胞に重篤な障害を引き起こす。近年、神経細胞の障害に先立ち、ミトコンドリア(Mt)などの細胞内小器官に異常が生じる可能性が示唆されている。今回、我々は低酸素インキュベーターと無糖培地を使用し、ラット由来初代末梢神経培養細胞の軸索におけるMtの動態を観察した。神経細胞軸索内のMtはレンチウイルスベクターを用いて、蛍光タンパクをMtに発現させ、観察に用いた。通常の培地において軸索内Mtの動態をタイムラプス顕微鏡にて観察(OGD-Pre)した後、無糖培地に交換し、1%酸素に設定したインキュベーターにて30分、60分、90分後の同じ軸索のミトコンドリアの動態を観察した(OGD-30、OGD-60、OGD-90)。対照群として観察後、通常培地と95%空気+5%二酸化炭素の条件下で、Mtの動態を同様に観察した。その結果、軸索内の輸送Mtの数は、対照群は培地交換前および30分、60分、90分の各郡に変化はみられなかったが、OGD-90は輸送Mtの数がOGD-Preと比較し、約49%に減少し、輸送ミトコンドリアを全く観察できない軸索もみられた。DAPIによる核染色や透過型電子顕微鏡による観察では、核染色体の凝集など、細胞死などでみられる変化は観察されなかった。以上のことから、軸索内輸送Mt数の減少は、細胞死に先行して観察されると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ウイルスベクターの作成、軸索内のミトコンドリアの観察と一部のデータ取得ができ、当初の計画通りに進行していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、計画通りに実験を遂行する。 ただし、中枢神経系におけるOGDの報告がなされ、有髄神経線維では停留ミトコンドリアの細分化が観察されると、報告されたため、髄鞘形成を誘導し、OGDと対照群による比較を試みている。
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次年度使用額が生じた理由 |
低酸素発生装置および、低酸素インキュベーターが同時期に破損し、その間、培養実験を休止したため、その期間の培養関係の消耗品費が次年度使用額として発生した。次年度使用額は予定していた培養実験の消耗品購入に充てる。
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