研究課題/領域番号 |
18K10679
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
片寄 正樹 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (50221180)
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研究分担者 |
吉田 真 北翔大学, 生涯スポーツ学部, 教授 (20404775)
青木 信裕 札幌医科大学, 保健医療学部, 助教 (20554653)
吉田 昌弘 北翔大学, 生涯スポーツ学部, 准教授 (30404776)
戸田 創 札幌医科大学, 保健医療学部, 助教 (40516580)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 野球 / 投球障害 / 障害予防 / 三次元動作解析 / 肩甲骨 / 投球動作 |
研究実績の概要 |
本研究目的は、大学野球選手を対象として、「プレシーズンに定量評価した肩甲骨位置」が「シーズン中に生じた投球障害肩」と関係するのかどうかを調べることである。 2年目である2019年度までに、実験環境を整え大学野球選手を対象に「プレシーズンにおける肩甲骨位置」の計測を実施した。2019年12月-2020年2月の期間で大学野球選手56名のデータ収集を終えている。目的の通り2020年度にシーズン中の投球障害肩発生の調査計画を立てていたが、新型コロナウイルス感染症の影響によりシーズンが正常に実施されず、障害調査は実施できなかった。2021年度も感染拡大予防を優先せざるを得ない状況が続き、シーズン中の障害調査は断念する結果となった。 しかしながら、「プレシーズンにおける肩甲骨位置」の計測データから、投球障害肩を予防プログラム考案に関わる基礎データを得ることができ, 2021年度には国内学会発表を1件実施できた。加えて、現在英文雑誌の査読最終段階まで進んでおり研究成果の公表に向けて作業を継続している。 具体的な研究成果を下記の通りである。初めに、投球動作中の肩甲骨位置に関する知見として、肩甲骨の内旋運動・後傾運動が切り替わる位相や角度の最大値に個人差が認められた。これらの個人差が投球中の肩関節最大外旋位(以下、MER)の肩甲骨位置に影響を及ぼすことが示された。加えて、投球動作における足部接地時の肩甲骨外旋角度が小さい選手はMER時の肩甲骨外旋角度も小さくなる関係が示されている。次に、肩関節最大等尺性収縮時の肩甲骨位置が投球動作中の肩甲骨位置と関連があることも確認された。屈曲運動時における肩甲骨の下方回旋角度・内旋角度・前傾角度が増加する選手は、投球中のMER時における肩甲骨下方回旋角度が増加する傾向を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年12月-2020年2月の期間で大学野球選手56名を対象に「プレシーズンにおける肩甲骨位置」の計測を計画通り実施できたが、2020年度及び2021年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、障害調査は実施できていない。 また、2021年度中の採択を目指していた英文雑誌での研究成果の公開が、査読プロセスの遅れもあり完了していない。そのため、2022年度への補助事業期間の延長を申請し、継続的な研究成果の公表を目指している。上記の通り、当初の研究計画を変更せざるを得ない状況であり、研究の進捗は「遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画の「プレシーズンに定量評価した肩甲骨位置」が「シーズン中に生じた投球障害肩」に及ぼす影響の検討は、感染症拡大の影響で補助事業期間内の実施が困難な状況となった。 今後は、すでに計測を終えている「プレシーズンにおける肩甲骨位置」の研究データを、査読中の英文雑誌および投稿準備中の和文雑誌に加え、国内学会で研究成果を公表していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年11月に発表予定であった国際学会が、コロナウイルス感染拡大の影響で参加困難となり演題取り下げの判断を下した。そのため、予定していた旅費、参加費の使用がなくなった。また、現在査読中の英文雑誌への論文投稿料としての支出も予定していたが、査読プロセスの遅延もあり今年度中の支出には間に合わなかった。 そのため、次年度ではすでに計測を終えている研究データに関する成果公表として、学会発表や論文投稿を進める予定である。それらに伴う、旅費・参加費の支出、英文校正費及び論文投稿費の支出を予定している。
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