研究課題/領域番号 |
18K10685
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研究機関 | 北海道千歳リハビリテーション大学 |
研究代表者 |
佐々木 努 北海道千歳リハビリテーション大学, 健康科学部, 教授 (00404781)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 運転寿命 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,運転寿命に影響する要因の相互関係を明らかにすることである.運転寿命に影響する要因の指標として,運転関連認知機能(危険予測能力,道路標識判断能力,方向定位能力,タイミング予測能力),要素的認知機能(記憶機能,遂行機能,視空間機能,情報処理速度),運転技能(ドライヴィングシミュレーターによるハンドル,アクセル,ブレーキ,ウィンカー操作),生活機能(外出能力,金銭管理能力,口腔機能など),環境要因(住環境,経済環境,医療・福祉サービス環境)を用いて相互関係を解析している.現状のデータ(地域在住65歳以上高齢者44例)では,運転技能が高い者ほど,運転関連認知機能,要素的認知機能,生活機能が高く,さらに,生活環境にも満足している者が多い傾向にあった.少数例であるが,MMSE得点が低得点である高齢者は,運転技能が低く,運転関連認知機能,要素的認知機能,生活機能が他の者より低い傾向にあった. 運転技能の特徴を詳細に分析した結果,高齢者はドライヴィングシミュレーターの初回試行から2回目の間に操作不慣れと思われる事故は著しく減少し,2回目と3回目に個人の能力と思われる事故が顕在することが分かった.この事実を受け,運転技能の指標は第2試行以降の結果を利用して運転寿命に影響する要因間の相互関係分析を行う必要が明らかになった. 現状では,被験者数が少ないため,引き続き対象者を招集し,解析を続けていく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年2月末より,新型コロナウィルス感染症の影響のため,被験者(地域高齢者)の招集が困難な状況が続いている.2020年5月15日現在で予定の40%程度の被験者に留まっている.被験者招集に苦慮する状況は長引くことが予測され,現存のデータ解析継続することとしている.
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今後の研究の推進方策 |
被験者のプロフィールとして,認知機能が平均以上と推測される者が比較的多いため,今後は,被験者集団の統制を可能な範囲で行う必要がある.新型コロナ感染症の状況を鑑み,地域高齢者の感染リスクを冒さない範囲での研究を継続する.
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次年度使用額が生じた理由 |
1点目としては,高齢者のデータ収集の際に,ドライヴィングシミュレーターの内部処理として算出される数値データとは別に,研究者の視認できている範囲ではあるが,高齢者のドライヴィングシミュレーター操作中の挙動特性がその他の指標と関連する感覚を抱いている.そのため,挙動を質的に分析するためにビデオカメラの購入を新規に予定している. 2点目として,最終年度は研究結果報告(学会や論文)を主として進める予定であったが,新型コロナ感染症の影響でデータ収集が滞っている.更に全国的に学会が中止になっている.この点に関しては,現存のデータの解析から論文発表を中心に支出を予定している.
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