研究実績の概要 |
本研究の目的は,自動車運転能力システムを構築し,運転寿命に影響する要因の特徴を明らかにすることであった.運転寿命の指標には過去1年間の事故・違反歴を用いた.分析対象者は,65歳以上高齢者63名であった.尚,運転関連認知機能と運転技能の予備データとして教習指導員36名,若年ドライバー10名を対象とした. 高齢者63名を事故・違反あり群(9名),事故・違反なし群(54名)に分類し,群間で運転関連認知機能(危険予測能力,道路標識判断能力,タイミング予測能力),要素的認知機能(全般的知的機能,注意機能,記憶機能),運転技能(ドライヴィング・シミュレーター),生活機能(基本チェックリスト),環境要因(CEQ)の違いを比較した.結果,いずれの要因においても群間で差を認めなかった;年齢(p=0.47,平均差の95%CI=-2.73,5.84),運転の自信(p=0.70),危険予測能力(p=0.80,95%CI=-2.51,3.22),道路標識判断能力(p=0.80,95%CI=-1.00,1.39),タイミング予測能力(p=0.70,95%CI=-0.08,0.13),MMSE(p=0.70),TMT-A(p=0.24,95%CI=-5.78,22.63),TMT-B(p=0.25,95%CI=-17.56,66.31),言語性記憶(p=0.68,95%CI=-0.58,0.87),空間性記憶(p=0.81,95%CI=-0.49,0.63),基本チェックリスト該当項目数(p=0.05,95%CI=-0.05,1.08),環境要因CEQ(p=0.50),ドライヴィング・シミュレーター事故回数(p=0.85,95%CI=-0.64,077). 結果より,運転寿命の指標とした事故・違反歴には,本研究で用いた指標以外の要因を考慮する必要性が伺われた.
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