研究課題
パーキンソン病患者における歩行障害に対する新しい治療として脊髄刺激とペダリングの組合せの効果を検討するために2019年度においては、従来の脊髄刺激に加えて、交叉性伸展反射のトリガーとなる、股関節伸展に対する入力を強化するために、大殿筋に対する電気刺激を加え、股関節伸展を誘導し、交叉性伸展反射への入力を増加させ、脊髄にある歩行関連回路のより一層の促通を目指した。脊髄刺激のタイミングはヒラメ筋の筋活動をトリガーとし、大殿筋刺激のタイミングは前脛骨筋の筋活動をトリガーとして、それぞれ、遊脚期、立脚期への刺激を行うものとした。脊髄刺激の強度は感覚閾値の2倍として、痛みを感じない程度の弱い刺激を用い、刺激部位は第12胸椎ー第1腰椎上に電極をおき、刺激周波数は100Hz の10発刺激を1トレインとして行い、筋電トリガーにより、腓腹筋筋活動をトリガーとして刺激をおこなった。また大殿筋刺激に関しては刺激周波数20Hz で刺激強度は運動閾値として、前脛骨筋筋活動をトリガーとして刺激を行った。既に行われた、筋電図電極、刺激装置、筋電モニター及び、トリガーを制御するPCの無線化により、簡便に立脚期における股関節伸展、ならびに遊脚期における下肢の振出を補助するシステムの作成に成功した。トレッドミル歩行においては、一側下肢のヒラメ筋筋活動により遊脚期と立脚期の歩行周期の鑑別が可能であったが、前脛骨筋の筋活動を同時に計測することにより、より正確な歩行周期の鑑別が正確となった。特に、ペダリングにおいては、その駆動周期の伸展相と屈曲相の鑑別においてはヒラメ筋と前脛骨筋の筋活動を用いることにより、より正確な刺激タイミングの設定が可能であると考えられた。
2: おおむね順調に進展している
トレッドミル歩行に用いた脊髄刺激を更に改良し、前脛骨筋の筋活動をモニターし、それをトリガーとして大殿筋への経皮的電気刺激を脊髄刺激に合わせて行うシステムを開発した。すでに脊髄刺激の生理学的検討ならびに脊髄刺激を用いたトレッドミル歩行時の歩行解析によるその効果は脳卒中患者んいおいて検討されている。ヒラメ筋ならびに前脛骨筋をモニターし、それぞれの筋活動をモニターし、トリガーとすることにより、ペダリング時にも駆動周期における、伸展相、屈曲相におけるより正確な刺激が可能になったものと考えられ、今後はパーキンソン病患者への応用が可能となったものと考えられ、研究はおおむね順調に進展しているものと考えられる。
治療システムはが完成し、2020年度はパーキンソン病患者において本システムをペダリングと組み合わせて行う治療プロトコールを完成し、倫理申請を行い、臨床研究を行う予定とする。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)
Parkinson's Disease
巻: 2019 ページ: 7104071
https://doi.org/10.1155/2019/7104071