経皮的脊髄電気刺激は脊髄における歩行運動関連回路を刺激することが可能である。またペダリング運動は歩行とほぼ同様の交互運動であり、歩行類似の筋活動から構成され、転倒の心配がないことから、多様な疾患による歩行障害のリハビリテーションに応用されている。本研究では経皮的脊髄電気刺激+ペダリング運動のパーキンソン病患者の歩行障害に対する効果を明らかとすることを目的とした。本研究では脊髄刺激に加えて、交叉性伸展反射のトリガーとなる、股関節伸展に対する入力を強化するために、大殿筋に対する電気刺激を加え、股関節伸展を誘導し、交叉性伸展反射への入力を増加させ、脊髄にある歩行関連回路のより一層の促通を目指した。脊髄刺激のタイミングはヒラメ筋の筋活動をトリガーとし、大殿筋刺激のタイミングは前脛骨筋の筋活動をトリガーとして、それぞれ、遊脚期、立脚期への刺激を行うものとした。脊髄刺激の強度は感覚閾値の2倍として、痛みを感じない程度の弱い刺激を用い、刺激部位は第12胸椎ー第1腰椎上に電極をおき、刺激周波数は100Hz の10発刺激を1トレインとして行い、筋電トリガーにより、腓腹筋筋活動をトリガーとして刺激をおこなった。また大殿筋刺激に関しては刺激周波数20Hz で刺激強度は運動閾値として、前脛骨筋筋活動をトリガーとして刺激を行った。筋電図電極、刺激装置、PCの無線化により、簡便に立脚期における股関節伸展、ならびに遊脚期における下肢の振出を補助するシステムの作成に成功した。パーキンソン病患者におけるエルゴメータの設定は中等度障害患者でも施行可能であり、心肺機能の影響なども検討し、ストレングスエルゴペダル付加5Nで3分とした。エルゴメータの前後では1例の結果ではあるがtimed up and go testが17.4秒から14秒に改善を認め、本プロトコールの有用性は確認された。
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