研究課題/領域番号 |
18K10689
|
研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
川手 信行 昭和大学, 医学部, 教授 (70255769)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 高齢者 / 活動性 / 加速度計測装置 / リハビリテーション |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、従来のリハビリテーション医療で行われている筋力増強訓練や関節可動域訓練、起居動作訓練など身体機能に焦点を当てたリハビリテーショ ンプログラムを、高齢者の活動・参加を促す事を目的とした新しいリハビリテーションプログラムを開発、普及することである。この研究は、高齢者の日常での活動パターンを客観的に把握し、活動低下をきたす因子を多角的にとらえるための研究(Phase1)、高齢者の活動・参加に対してマイナス因子を解消するための対策とリハビリテーションプログラムを開発する研究(Phase2)、開発したリハビリテーション・プログラムの有用性・有効性について検討する研究及び本プログラム普及(Phase3)の一連の研究課題から成り立っている。今回の研究期間内では、当初Phase2まで行う予定であった。2020年度は、Phase1でエントリーされた対象者60名に対して、①対象者の日常生活活動の調査、②他メモリー加速度計装置付き万歩計・ライフコー ダーでの対象者の活動記録、③体力測定を定期的に行う予定であったが、COVID-19感染症の流行による緊急事態宣言・蔓延防止法の施行による不要不急の外出の 自粛の影響で期日を延期、時間を短縮し実施したが、対象者の中に中途辞退、実施不可能者が多く、また、再エントリーを募ったが実施まで至らず、調査 自体を打ち切り、得られたデータで解析をせざるを得なくなった。また、2021年度は、Phase1のデータ解析を行い一部の結果は学会にて報告した。2022年度は、残りのデータ解析を行い、学会で報告ができ、Phase2のプログラム作製メンバー会議を立ち上げ、プログラムの作製について検討した。今後、プログラムの完成と普及に向けての小冊子化を、COVID-19感染症の流行による院内感染発生などに注意しながら継続する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19感染症による緊急事態宣言や不用不急の外出の自粛の影響により、高齢者施設などへの外部からの入所の自粛、調査や体力測定の実施や研究参加の広報が困難であり、研究参加エントリー者は100名の目標のところ60名にとどまった。また、エントリーした対象者により、1年間の装着、体力測定などの研究調査を 行う予定であったが、中途辞退者が20名近くに及んだ事や、データのPC移行に対面での実施が必要であったことなどにより、進行が大幅に遅れている。Phase1のデータ解析は概ね終了し、その結果を第5回及び第6回日本リハビリテーション医学会秋季学術集会にて報告した。2023年度にはさらに詳細にわたって検討を加え、学会報告を行う予定である。また、Phase2のプログラム作製については、プログラム作製メンバー会議を行い、意見を集約しプログラムの小冊子化に向けて検討中である。今後もCOVID-19感染症の流行による院内感染発生などへの対応に注意し、医療人としての節度を保ちながら、研究を継続していく。
|
今後の研究の推進方策 |
当初、予定していたエントリー数より減少したが、1年間の観察が可能であった対象者のデータ解析を行い、その結果については、既に学会報告をしており、今後より詳細な解析を進め、令和5年度の日本リハビリテーション医学会秋季学術集会などで報告する予定である。Phase2の高齢者の活動・参加に対してマイナスに作用する因子を解消するための対策についての検討とリハビリテーションプログラムの作製のため、プロジェクトメンバー会議を開催し、「活動性を活性化するプログラム(ADA program)」を令和5年度中に小冊子化しプロダクトを完成させる予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
集積データをさらに分析し、高齢者の活動性を低下させる因子を明らかにし、第7回秋季リハビリテーション医学会などの関連学会に報告とするとともに、Phase2の活動性を向上させるプログラム:『Activate Daily Activity(ADA) program』を作製する検討会をWEB等を用いて行い、まとめ上げて小冊子化する事を目指している。そのための経費として、統計ソフトの購入、学術集会参加費、学術集会参加旅費、学術雑誌(英文校正・投稿費)、WEBを用いた会議費(Zoomなどの通信費)及び通信用タブレット購入費、小冊子印刷費などに使用する計画である。
|