研究課題/領域番号 |
18K10696
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
平岡 崇 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (20351926)
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研究分担者 |
椿原 彰夫 川崎医科大学, 医学部, 教授 (10138117)
三原 雅史 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80513150)
目谷 浩通 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (30330583)
用稲 丈人 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (00802688)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高次脳機能障害 / 社会的行動障害 / 脱抑制 / 側頭葉 / 扁桃体 / 淡蒼球 / Kluver-Bucy症候群 |
研究実績の概要 |
本研究においては、18名の健常者および9名の社会的行動障害者(脱抑制患者)からFunctional MRIのデータを得られた。得られたDICOMデータから、脳内のFunctional conectivityについて検討を行った。脱抑制患者においては、事前の仮説として、脳内の前頭葉基底核視床回路(下前頭前野回路(行動抑制系))の問題があるもの推定された。 結果としては、左右の側頭葉と左右の扁桃体/淡蒼球間の間でのFunctional conectivityが有意に低下していることが示された。当初の予測と完全に合致はしないものの、感情のgeneratorと考えられる扁桃体を含み、また行動抑制系回路である下前頭前野回路の一部を構成する淡蒼球を含む結果となっており、この観点からはreasonableな結果であると判断できる結果が得られた。またこの結果からKluver-Bucy症候群との類似性についても推定された。同症候群については、サルにおいて両側の側頭葉を切除すると、「精神盲(視覚失認)」「口唇傾向」「変形過多」「情動行動の変化」「性行動の変化」「食事習慣の変化」の6つの症状が出現するとされる。今回の我々の検討においても9例(9例中)に易怒性などの情動行動の変化が、1例(9例中)に性行動/食欲の亢進(脱抑制)が見られた。動物研究では同症候群の病巣として側頭葉の新皮質を重視する説もある。人を対象とする研究では、てんかんによる両側側頭葉切除・脳炎・ピック病・頭部外傷などの患者で報告されており、責任病巣としては側頭葉内側面なかでも扁桃体とする考えが一般的である。これらは本研究におけるFunctional conectivityの低下部位と類似していた。このように脱抑制を主体とする高次脳機能障害者においては、Kluver-Bucy症候群と近似する脳神経基盤が関与する可能性が示唆された。
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