研究課題/領域番号 |
18K10698
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
加藤 徳明 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (50593365)
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研究分担者 |
佐伯 覚 産業医科大学, 医学部, 教授 (20269070)
岡崎 哲也 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (40352314) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 失語症 / 自動車運転 / 神経心理学的検査 |
研究実績の概要 |
本研究の目的の一つは、失語症患者において、言語の影響により成績が低くなる注意・遂行機能検査を知り、運転適性評価に利用できる検査を明らかにし失語症独自の基準値を設定することである。 以前、失語症の有無で有意差がなかった検査は、Trail Making Test(TMT) Part-A、Reyの複雑図形模写、Tapping Span、Visual Cancellation Task(VCT)図形A・B所要時間、 Continuous Performance Test(CPT)反応時間であったと報告した。2019年2月より、新たにTMT-日本語版(TMT-J)の使用を開始したため、以後の患者に関して失語症の有無で有意差がない検査を再検討すると、上記検査は全て有意差を示さなかったため、失語症者で使用しやすいと再確認できた。また、判定に際して有効性がある検査を明らかにするために、失語症者29名のうち病院内評価を合格とした16名と不合格とした13名とで、上記検査に関して有意差を示す検査を検討し、重回帰分析で有効である検査を抽出した。結果は、TMT-J Part-A, Tapping Span Backward, VCT図形A・B,CPT X・AX課題が有意差を示し、これらを独立変数とした重回帰分析(ステップワイズ法)ではTMT-AとCPT AX課題が抽出された。よって、当院で運転適性判断に実施する検査の中で、失語症者の院内評価の合否判定には、TMT-AとCPT AX課題が大きく寄与していることが示唆された。あと1年間症例を増やし、また研究期間以前の症例を合わせ、失語症者の判定に利用できる検査を検討しより精度を高める予定である。 もう一つの目的である失語症に対する経頭蓋直流電気刺激(tDCS)の研究に関しては、コロナ禍もあり症例があまり増えていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
失語症者の運転適性判定に適した神経心理学的検査の検討に関しては、失語がない患者、失語がある患者ともに順調に症例は増えているため、今後、さらに症例を加え、精度の高い解析を実施する予定である。失語症者に対する経頭蓋直流電気刺激(tDCS)の研究に関しては、コロナ禍もあり症例があまり増えていない。3日連続で外来に受診する条件が弊害になった。
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今後の研究の推進方策 |
tDCSの研究に関して症例が少ないため、研究期間を1年間延長した。他院にもtDCS刺激ユニットや消耗備品を貸し出して症例を増やす予定とし、手配済みである。その場合はビデオカメラで実施状況を撮影し、問題がないか確認してから、解析に使用する予定である。 今年度が最終の予定であるので、結果を解析し、成果を発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、Web開催が多く中止となった学会もあり、旅費が大幅に残った。参加した学会も例年より少なかった。コロナの影響で不参加となった際の負担を考え、国際学会での発表も見送った。そのため、次年度使用額が生じた。 今年度は学会参加、発表をする予定である。結果がでれば、論文投稿も検討する。他院でのtDCS装置は申請し購入済みであり、観察のためのビデオカメラも購入予定である。また、消耗品の破損や劣化に伴う出費にも使用する予定である。
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