研究課題/領域番号 |
18K10700
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
中内 さくら 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (20530140)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 線条体 / 脳梗塞 / リハビリ / 可塑性 / 受容体 |
研究実績の概要 |
大脳基底核の一部である線条体は虚血に脆弱で、影響を受けやすく梗塞を起こしやすい部位である。線条体は脳梗塞の中でも中大脳動脈アテローム血栓性梗塞や多数のラクナ梗塞(微小梗塞)を引き起こす部位であり、それら血管障害の後遺症として認知障害や歩行障害などの運動障害や脳血管性パーキソニズムなどを発症する。それら後遺症のリハビリは、海馬の障害に比べて困難なことが問題となっている。近年の研究により、線条体は海馬などに比べ、運動療法を長期間必要とすることが分かってきたが、未だ線条体梗塞からのリハビリのメカニズムに関する研究は少ない。本研究では、線条体の微小梗塞モデル動物の作製と、後に起こる神経細胞の病的変化に注目し、組織学的、電気生理学的手法で測定し解明を試みる。本年度は安定したモデル動物の作製と、その組織変化の観察を中心に行った。脳虚血モデルは、全脳虚血モデルと局所脳虚血モデルに分けられるが、全脳虚血モデルは脳血流減少の程度が強く、短時間の一過性虚血により選択的脆弱性を有する細胞群に神経細胞死を引き起こす。一方、局所脳虚血モデルは、閉塞血管の支配領域に従って脳梗塞となり病態の進行は速やかでヒトの脳梗塞のモデルであるとされているので、本研究においては局所脳虚血モデルマウスを作製し、組織学的な変化の測定を行った。組織学的な変化としては、脳虚血時間を数段階に分け、虚血により引き起こされる梗塞部位の大きさの変化と、主にペナンブラ領域とその周辺部位における細胞数及び受容体数の変化を測定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は安定したモデル動物の作製と、その組織変化の観察を中心に行った。動物は5-10週齢のC57BL/6マウスを用いた。脳虚血モデルは、局所脳虚血モデルマウスを作製した。線条体に多く存在する中型有棘細胞と行動選択に深く関わるとされるコリン作動性神経細胞の数、及びそれらの神経細胞が持つ受容体の分布を調べた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られた結果から、局所脳虚血モデルにおける梗塞部位の大きさの変化、ペナンブラ領域とその周辺部位における細胞種及び受容体の変化の様子が見えてきたので、当初の計画通り、次年度はトレッドミル運動による機能改善を図った場合の変化と、受容体の作動薬、拮抗薬を用いて線条体の梗塞後の変化を促進することができるか検討する。また、今年度は中大脳動脈結紮法によりモデル動物を作製したが、より安定的で局所の梗塞モデル作製のために、次年度以降Photothrombosis法による局所脳虚血モデルマウスを作製も試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、中大脳動脈結紮法によりモデル動物を作製する事に集中したため、Photothrombosis法に必要になる光学ランプ等を購入する必要がなかったが、より局所のモデルを作製するため、次年度以降に光学ランプ等を購入する。
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