研究課題/領域番号 |
18K10701
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研究機関 | 独立行政法人労働者健康安全機構総合せき損センター(研究部) |
研究代表者 |
寺師 良輝 独立行政法人労働者健康安全機構総合せき損センター(研究部), 独立行政法人労働者健康安全機構総合せき損センター(研究部), 研究員(移行) (90647728)
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研究分担者 |
小林 博光 独立行政法人労働者健康安全機構総合せき損センター(研究部), 独立行政法人労働者健康安全機構総合せき損センター(研究部), 研究員(移行) (00647729)
林 哲生 独立行政法人労働者健康安全機構総合せき損センター(研究部), 独立行政法人労働者健康安全機構総合せき損センター(研究部), 研究員(移行) (00769680)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | LINE / IP電話 / 通報 / 機械学習 / 障害者 |
研究実績の概要 |
SNS利用の遠隔通報システムは、Bluetoothによる中継装置でスイッチとスマートフォンを無線接続し、LINEスタンプ、LINEメッセージ、IP電話により、双方向コミュニケーションを実現するものである。変更への対応、将来的な安定供給を考慮し、市販開発ボードESP32-DevKitCを使用した中継装置を2次試作した。遠隔通報システムの操作には、独自のスマートフォンアプリを使用するが、Android版に加え、iOS版を開発した。IP電話については、着信応答から通話開始できる状態までの遅延、使用端末に機種によるノイズ発生など課題が残る。 機械学習による非言語音スイッチは、舌打ち音、唇振動音(バズィング)など非言語音をシングルボードコンピュータRaspberry Pi 上のPythonの機械学習ライブラリであるscikit-learnにより判別し、リレー出力を得るものである。舌打ち音、唇振動音、鈴音を判別対象とし、それぞれ285種の雑音を重ねた学習データと録音テストデータを用いた判別実験では、十分な音量であれば判別可能であることを確認し、マイク入力~機械学習・判別~リレー出力を統合した。音量が十分でない場合、判別正答率50%に満たないため、マイク入力、学習データの生成に課題が残る。 障害のある方の通報手段に関する調査については、障害の状況、移動方法、情報端末の操作方法、利用中のSNS、所有情報端末、情報の発信・受信の状況、日常の過ごし方、生活上の不具合について、障害当事者宅を訪問し、聞き取り調査を行った。対象者は、残存レベルC4~5の頚髄損傷者男女3名。いずれも単身で過ごす時間帯があり、連絡する相手、重要度や優先度、自身の状況等によって、通信手段や方法が異なることも明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SNS利用の遠隔通報システムは、中継装置の開発、独自のスマートフォンアプリの開発とも、着信応答から通話開始できる状態までの遅延、使用端末に機種によるノイズ発生など課題が残るものの予定どおり開発できている。 機械学習による非言語音スイッチは、音量が十分でない場合、判別正答率50%に満たないため、マイク入力、学習データの生成に課題が残るものの予定どおり開発できている。 障害のある方の通報手段に関する調査については、COVID-19の影響で都心部に住む障害当事者に対しての自宅訪問調査は実現できなかったが、地方都市やベッドタウンに在住する障害当事者については、おおむね予定通り聞き取り調査を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
SNS利用の遠隔通報システムは、中継装置、独自のスマートフォンアプリとも、着信応答から通話開始できる状態までの遅延、使用端末に機種によるノイズ発生問題などの解消を図る。解消できない問題については、市販品を組み合わせて代替する。 機械学習による非言語音スイッチは、マイク入力、学習データの生成問題などの解消を図る。そのうえでSNS利用の遠隔通報システムと統合し、障害当事者による評価を行う。 障害のある方の通報手段に関する調査については、訪問調査と並行し、アンケート調査を実施する。通報する相手に意思を伝えたり、外部からの連絡を受け取ったりする際の方法や手段や内容についてのアンケートを作成し、郵送およびインターネット上で回答できる環境を整備し、アンケート調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
スマートフォン、Raspberry PiのOSのバージョンアップ等により対応の可否が生じることが想定され、SNS利用の遠隔通報システム、機械学習による非言語音スイッチとも最少量の試作に留めたため次年度使用が生じた。令和2年度時点での安定したOS、機材で量産し、評価を行う。 障害当事者への訪問聞き取り調査においては、COVID-19の影響で訪問が実現できず、予定人数5名には達せなかった。前年度に実現できなかった都市部に在住する障害当事者については、環境が整い次第、訪問調査に着手する。
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備考 |
[研究成果物(スイッチテレコール)の出展] 計3件 第53回日本作業療法学会(福岡)2019年9月 第46回国際福祉機器展 (東京) 2019年9月 第67回日本職業・災害医学会(東京) 2019年11月
[研究成果物(スイッチテレコール)のテスト販売開始] 計1件 株式会社E&I(福岡)2019年7月
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