研究実績の概要 |
本研究は以下の2点を明らかにすることを本研究の目的とした。①マウス脳梗塞後の脳幹網様体神経細胞の活動性亢進は恒常的シナプス可塑性に関連するか、恒常的シナプス可塑性に関連する分子の発現変化を検討する。②脳梗塞後の脳幹神経細胞の活動性亢進と痙縮出現は関連するか、マンガン造影MRI撮像を用い、経時的な脳幹網様体領域の神経活動変化と痙縮の出現の相関を検討することを計画した。 研究結果について、①については、恒常的シナプス可塑性の関与を確認するために、大脳皮質神経細胞を標識し、先行研究で報告されている恒常的シナプス可塑的変化に関与する分子(GluR1,2, TNF-α,Pum2,Nav1.6など)の発現変化を免疫組織染色法で半定量的解析により検討すると計画した。標識方法としては順行性トレーサーのBDAを使用し、脳梗塞モデル作成前に損傷予定領域の神経細胞に注入し標識し、脳梗塞を作成して1週間後のサンプルにおいて、GlurR1をはじめとする恒常的シナプス可塑的変化に関与する分子の発現変化を確認している。1週後のサンプルでは、標識終末とシナプスを形成するシナプス数は有意に減少し(脳梗塞群=30, sham群=42 p<0.01)、標識終末とシナプス形成するシナプスに発現するGluR1の発現面積を面積組織染色法で確認すると有意に大きい結果が確認された(脳梗塞群=25%, sham群=21% p<0.01)。今後他の分子についても、検討していく予定である。また②についてはマンガン造影MRI撮像プロトコルは確立できているが、撮像時のマウス頭部固定が不良のため撮像画像の再現性が取れない問題があり、頭部固定器を3Dプリンターを用いて作成した。またマンガンが血液脳関門に阻まれて脳内に一定濃度を届けることが難しい課題に面していたが、直接第4脳室にマンガンを投与することで解決でき、今後予定通り進めていく。
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