研究課題/領域番号 |
18K10706
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
李 佐知子 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (80599316)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 脳梗塞 / 痙縮 / 恒常的可塑的変化 / マンガン造影MRI |
研究実績の概要 |
脳梗塞後、一定期間が経過すると不随意的筋活動をおこす痙縮が多く発症する。 このため、痙縮は損傷による神経機能の喪失ではなく、損傷後の機能回復過程に生 じる神経可塑的変化によっておこると考えられている。申請者はその機序の一つと して、「恒常的可塑性変化」が関連するのではないかと考えた。痙縮は脊髄反射の 亢進をしめし、脳幹網様体は脊髄反射の中枢として知られている。そこで、以下の2 点を明らかにすることを本研究の目的とする。1脳梗塞後の脳幹網様体神経細胞の 活動性亢進は恒常的可塑性に関連するか、恒常的可塑性に関連する分子の発現変化 について検討する。2脳幹の神経細胞の活動性亢進と、脳梗塞後の痙縮発症は関連 するか、生体での神経活動と痙縮の発症が相関するかについて検討する。 実験1については、ほとんどの実験が終わり、脳幹における恒常的可塑的変化の確認を行った。具体的には脳梗塞後の皮質網様体軸索投射先の非損傷側延髄網様体腹側核(MdV)で、損傷後3~7日で恒常的可塑性に関連するGluA1の集積が有意に増加し、損傷後14日でGluA2が集積増加することが確認された。この結果、皮質運動野の虚血損傷早期に非損傷側MdVにおいて恒常的可塑的変化が生じている可能性を示唆した。現在、この変化によってMdVにおいて神経細胞の活動性に変化があるかどうかを確認する実験を行っており、本実験が終わり次第論文化を行う。 実験2について、当初所属期間でMRIの撮像を計画していたがcovid-19の影響から使用が困難になり、東北大学と共同研究を策定し実施した。解析に時間を要しており、現時点ではデータ取得は終えている。解析は次年度に実施する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
実験1については、概ね順調に進んでいた。追加実験を現在行っておりその結果を踏まえて、論文化の準備を行っている。 実験2については、当初2020年度に所属機関でMRIを使用計画であったが、機器の使用ができなくなったため、他機関での機器使用を模索し、東北大学での機器使用が可能になり、2021年1月から5月頃にかけてデータ取得を終えた。その後、解析担当者が間接的にcovid-19の影響を受けて解析がストップしてしまい、研究計画を遅れている状況。2022年度より解析担当者が復帰できるため、今後は計画を進めていく予定。
|
今後の研究の推進方策 |
実験1については、現在追加実験を実施しており、本年中には実施できる予定である。結果がでしだい、英文雑誌へ投稿する準備で進めている。 実験2については、解析担当者が復帰できたため、現在画像の解析を実施している。今後、8月をめどにデータ解析を実施して、英文論文化を行う予定。
|
次年度使用額が生じた理由 |
使用計画に遅れが生じているため。
|