研究実績の概要 |
本研究計画においては、以下の目的をたて実験を行った。 1脳梗塞後痙縮発症マウスにおいて、脳幹網様体神経細胞の活動亢進は恒常的可塑的変化によるものか? 2痙縮に関連する領域として脳幹網様体の神経活動と痙縮現象に関連はあるか? 1において、脳幹網様体である延髄網様体腹側核(MdV)は痙縮症状によって障害される運動機能であるrearchやgraspと言った手指巧緻動作と強く関連がある領域である。そこで、脳梗塞によって障害された神経が投射していたMdVの投射先神経の細胞膜上に発現する以下の4つのタンパク質の発現を確認した。恒常的可塑的変化に強く関連すると報告されている興奮性受容体のGluA1および2、また全シナプスマーカーとしてVGluT1,脳梗塞によって障害された細胞の軸索標識に順行性トレーサーであるBDAを用いて解析した。その結果、shamマウスと比較して損傷後3-7日のstoke群においてGluA1の集積がし、損傷後14日ではGluA2がそれぞれ有意な集積増加となり、損傷後の時期で異なる発現増加を確認した。 実験2において、脳梗塞後痙縮を確認したマウスの神経活動の累積量を定量的に比較できる活動依存的マンガン造影MRIを用いた。また痙縮との関連を見るために、痙縮を誘発させる電気刺激を行う群を設けた。結果、shamマウスにおいて、大脳皮質と比較してMdV領域は神経活動が高い傾向で、痙縮を誘発させる電気刺激によりMdV領域の神経活動量の累積は有意に減少した。損傷後1週間の脳梗塞後痙縮発症マウスにおいて、電気刺激なし群ではshamと比較して有意な活動量の増加が確認された一方で、電気刺激によるMdV領域の活動量の低下は確認された。損傷後2週間ではshamと比較して電気刺激なし群における活動量の増加はなかった一方で、電気刺激後の神経活動の低下はなかった。 本研究成果を現在英文論文にまとめている。
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