研究課題/領域番号 |
18K10712
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
村田 潤 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 准教授 (00304428)
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研究分担者 |
村田 伸 京都橘大学, 健康科学部, 教授 (00389503)
田中 浩二 群馬大学, 大学院保健学研究科, 准教授 (60613601)
古後 晴基 西九州大学, リハビリテーション学部, 准教授 (90640821)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 手指感覚 / 点字解読課題 / 視覚障がい者 / 手指皮膚血流量 / 心拍数 / 動脈血圧 / 自律神経 |
研究実績の概要 |
日常的に点字を活用している視覚障がい者の点字解読時にみられる手指循環調節能について視覚障がい者(7名),および視覚障がい者群と年齢を一致させた健常成人(7名)を対象として実験を行った.これらの被験者に対して,点字解読時の手指血流量応答の特徴の差異について分析を行った.課題は,利き手示指を使用して机の裏面に設置した点字プレート(幅3mm,高さ1mmの凸を点字模様に従って配列)の解読作業を15秒間で行わせた.この課題施行時にみられる手指皮膚血流量(レーザー血流計),および心拍数,動脈血圧の変動を測定した.これらのデータは,アナログ/デジタル変換器を介してサンプリング周波数1000Hzでコンピュータに同時記録された.解析はoff-line下で実施され,課題遂行前30秒間のデータをベースライン値として変化率を算出し,点字解読時にみられる応答特性について検討した. その結果,両群ともに心拍数と動脈血圧に大きな変動はみられなかったのに対して,手指皮膚血流量は点字解読時に減少した.ただし,その減少量は視覚障がい者群において-23.4±5.2%であったのに対して,健常者群においては-48.0±8.3%まで減少した.また,点字解読時の血流応答は視覚障がい者群において,健常者群よりも先行して起こり,さらにピーク値までの到達時間も視覚障害者群において速かった.これらの研究成績は,点字の日常使用による高度の学習効果によって,自律神経を介した見込み的な中枢性手指循環制御が発達した可能性を示唆する.
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