研究課題/領域番号 |
18K10717
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
菊地 尚久 横浜市立大学, 医学研究科, 客員准教授 (90315789)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 脊髄損傷 / 慢性期 / 痙縮 / ADL / QOL / ボツリヌス療法 / 経頭蓋磁気刺激 / リハビリテーション治療 |
研究実績の概要 |
本研究は慢性期の脊髄損傷患者に対して、脊髄損傷のリハビリテーション治療を多数施行している施設において痙縮治療群と経頭蓋および末梢電気刺激群の2群に分け、リハビリテーション治療介入を行い、痙縮、身体機能、ADLに応じた適切な治療方法とリハビリテーション介入のモデル化を行うことを目的としている。 平成30年度はデータベース項目の整理、当施設でのリハビリテーション治療介入、研究協力施設への協力依頼を行った。対象は20歳以上80歳未満の頚髄損傷、内因性頚髄障害患者のうちAISがC・Dとし、登録者はBoNT-A療法が8名、rTMS療法およびPNS療法が5名であった。データベース項目は脊髄損傷の高位と機能(ASIA Impairment Scale,簡易上肢機能検査)、痙縮とその変化(modified Ashworth Scale)、ADL(FIMの総点数および各項目の点数)、治療および訓練内容、QOL(評価にはSCI QOLを使用)、生活状況とした。評価は介入研究開始前、介入施行中1か月ごと、介入終了後3か月、6か月の時点で行った。治療介入はBONT-A療法においては両上肢に対して計240単位のA型ボツリヌス毒素の施注を通常のプロトコールに従って3か月ごとの施注を2クール施行し、rTMS療法およびPNS療法においては、rTMS療法では反復経頭蓋磁気刺激装置を用いて、Huang at Jのプロトコールに従い施行した。 データベース項目に関しては従来痙縮に関する項目が少なかったため、痙縮による影響が評価可能な身体機能、ADLに関する項目を追加した。治療介入に関してはBONT-A療法群では痙縮に関しては改善効果がみられたが、ADLについては施行前との有意な改善は認められなかった。rTMS療法およびPNS療法では痙縮は有意な改善を認めず、ADLは症例により上肢機能に関連する項目の改善を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度はデータベース項目の整理、当施設でのリハビリテーションと治療介入、研究協力施設への協力依頼を行った。対象は20歳以上80歳未満の頚髄損傷、内因性頚髄障害患者のうちAISがC・Dとし、登録者はBoNT-A療法が8名、rTMS療法およびPNS療法が5名であった。データベース項目は脊髄損傷の高位と機能(ASIA Impairment Scale,簡易上肢機能検査)、痙縮とその変化(modified Ashworth Scale)、ADL(FIMの総点数および各項目の点数)、治療および訓練内容、QOL(評価にはSCI QOLを使用)、生活状況とした。評価は介入研究開始前、介入施行中1か月ごと、介入終了後3か月、6か月の時点で行った。治療介入はBONT-A療法においては両上肢に対して計240単位のA型ボツリヌス毒素の施注を通常のプロトコールに従って3か月ごとの施注を2クール施行し、rTMS療法およびPNS療法においては、rTMS療法では反復経頭蓋磁気刺激装置を用いて、Huang at Jのプロトコールに従い施行した。 データベース項目に関しては従来痙縮に関する項目が少なかったため、痙縮による影響が評価可能な身体機能、ADLに関する項目を追加した。治療介入に関してはBONT-A療法群では痙縮に関しては改善効果がみられたが、ADLについては施行前との有意な改善は認められなかった。rTMS療法およびPNS療法では痙縮は有意な改善を認めず、ADLは症例により上肢機能に関連する項目の改善を認めた。 当初の計画ではデータベース項目の整理、当施設および数か所の協力施設でのでのリハビリテーション治療介入、それ以外の研究協力施設への協力依頼を予定していたが、多施設との打ち合わせおよび研究倫理申請に時間を要し、この面では達成できなかった。他の項目に関しては順調に推移しているものと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度は平成30年度に予定していた2施設での研究を開始し、データを蓄積する。 さらにBoNT-A療法およびITB療法、rTMS療法およびPNS療法の介入件数を追加する。参加施設を増やすとともに施設での参加人数を増加させる。 当施設ではBoNT-A療法およびITB療法が各施設5名つ、rTMS療法およびPNS療法が3名とし、追加登録の施設ではBoNT-A療法およびITB療法が各施設3名ずつ、rTMS療法およびPNS療法が各施設3名ずつを予定している。追加登録を依頼する施設は、各都道府県の脊髄損傷に対する回復期リハビリテーションを多数施行している経験がある病院、または病院内に障害者病棟を持ち、回復期・慢性期の脊髄損傷の医療管理およびリハビリテーションを行っている病院、公立系の総合リハビリテーションセンターなどを予定している。 また作成されたデータベースを用いて治療によるADL、QOLと生活状況の相関性について検討する。治療による身体機能の変化に加えて、治療介入によりADL、QOL、生活状況がどのように変化したかを、評価項目は脊髄損傷の高位と機能(ASIA Impairment Scale、簡易上肢機能検査)とその変化、痙縮とその変化(modified Ashworth Scale、Disability Assessment Scale)、ADL(FIM総点数および各項目)、QOL(SCI QOL)、生活状況などである。これらの項目に対して多変量解析の手法を用いて、研究代表者菊地尚久が分析する。 令和2年度は平成30年度および令和元年度に得られたデータを検討し、これら介入対 象のデータと以前から蓄積のある脊髄損傷DBのデータを比較する予定としている。評価項目は脊髄損傷の高位と機能とその変化、痙縮の状況とその変化、ADL、、生活状況などである。
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