本研究は慢性期の脊髄損傷患者に対して、脊髄損傷のリハビリテーション治療を多数施行している施設において痙縮治療群と経頭蓋および末梢電気刺激群の2群に分け、リハビリテーション治療介入を行い、痙縮、身体機能、ADLに応じた適切な治療方法とリハビリテーション介入のモデル化を行うことを目的としている。 令和2年度は平成30年度および令和元年度に得られたデータを検討し、これら介入対象のデータと以前から蓄積のある脊髄損傷DBのデータを比較した。評価項目は脊髄損傷の高位と機能とその変化、痙縮の状況とその変化、ADL、生活状況などである。作成されたデータベースと以前から蓄積のある脊髄損傷DBのデータを比較した。調査項目は治療によるADL、QOLと生活状況の相関性について検討した。治療による身体機能の変化に加えて、治療介入によりADL、QOL、生活状況がどのように変化したかを検討した。評価項目は脊髄損傷の高位と機能(ASIA Impairment Scale、簡易上肢機能検査)とその変化、痙縮とその変化(modified Ashworth Scale、Disability Assessment Scale)、ADL(FIM総点数および各項目)、QOL(SCI QOL)、生活状況などである。脊髄損傷の高位と機能(ASIA Impairment Scale、簡易上肢機能検査)とその変化に関しては痙縮治療群、経頭蓋および末梢電気刺激群とも有意な改善を認めた。痙縮に関しては痙縮治療では明らかな改善を認めたが、経頭蓋および末梢電気刺激群でもわずかな改善が認められた。ADLについても両群とも優位な改善を認め、QOL、生活状況にも良い影響があることがわかった。また得られた結果に対して日本リハビリテーション医学会学術集会において研究発表を行った。新型コロナ感染症にで研究遂行が制限されたが、研究を完了できた。
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