研究実績の概要 |
バーチャルリアリティ(Virtual Reality: VR)は仮想現実ともいわれており、コンピューターにより合成されたCGや映像の効果により、特定の機器を装着することで3D空間内にVR体験者の身体が投影され、その空間内へ360度3Dの世界に入り込む没入感を得ることのできる技術である。VRの活用が最も進んでいる分野はゲームの領域であるが、それ以外でもビジネス, 通信, 教育などの分野でも活用が始まっている。医療の分野でも徐々にVR技術の研究・活用が進んできている。“リハビリテーション”を実施するうえで、効果的な訓練法の開発は常に重要な課題であり、本研究ではVR技術を活用した“仮想現実”の環境で訓練が可能となる新たなVRリハビリテーション(VRR)訓練システムを開発し、臨床への応用に向けての検討を行った。その結果、視線入力を用いることで遠位空間, 近位空間における注意障害, 半側空間無視といった高次脳機能障害に対する訓練, ハンドトラッキングを用いた上肢機能訓練, 実際の歩行が困難な状態でも足踏みが可能な段階から仮想空間内で歩行訓練が可能となる下肢機能訓練といった新たな試みとしてのリハビリテーション訓練システムを開発した。併せて3DCGや映像で表現された空間内での視覚の変化を活用した訓練“環境”の要素にも焦点を当てた開発を行った。開発したVRRシステムを使用した検討では楽しみを感じながらのリハビリテーション訓練の実施継続が可能であり、今後対象者や訓練コンテンツの種類を増やし、さらなる検証を行っていく必要がある。
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