研究課題
本研究目的は化学療法を受けた血液がん患者に対し、治療前に筋力、運動耐容能、栄養状態を評価し、新たなリハビリテーションプログラムを開発することである。対象は、2019年6月から2020年2月まで化学療法を実施した血液がん患者35例とした。年齢、性別、Barthel Index(BI)、膝伸展筋力、握力、6分間歩行距離(6MD)を評価した。栄養状態はMini Nutritional Assessment-Short Form(MNA)により評価した。体成分分析装置を用いて脂肪量、骨格筋量、骨格筋指数(SMI)、体格指数(BMI)を測定した。サルコペニア診断基準2019を基にサルコペニアあり群(あり群) とサルコペニアなし群(なし群)の2群に分類した。結果は35例中9例(25.7%)がサルコペニアに該当していた。サルコペニアあり群(9例、年齢77.7±7.7歳)はなし群(26例、年齢67.0±7.4歳)と比べ、65歳以上の割合が有意に高かった(p<0.05)。サルコペニアあり群はなし群と比べ、膝伸展筋力(あり群14.7±4.0kgf、なし群29.6±9.6kgf)、握力(あり群15.9±5.3kg、なし群27.9±8.8kg)、6MD(あり群333.2±124.7m、なし群442.2±95.7m)、MNA(あり群18.9±2.6点、なし群22.3±4.0点)の項目において有意に低値を示した(それぞれ、p<0.05)。65歳以上の血液がん患者はサルコペニアを有している割合が高く、身体機能が低下している。より早期からリハビリテーションや栄養介入を行っていくことでサルコペニアを予防できる可能性が示唆される。
2: おおむね順調に進展している
おおむねデータ収集は順調に進んでいる。調査研究により血液がん患者には運動療法のみでなく早期からの栄養療法介入も必要であることが分かった。次年度の研究課題である、血液がん患者に対する運動療法と栄養療法を組み合わせた介入研究もパイロット的に実施しており、予定通りの進捗状況と考えられる。
現在予定通り研究は進んでいる。次年度はさらなる症例集積を図り、結果をまとめ報告する。また、運動療法と栄養療法を組み合わせた介入が血液がん患者に対してどのような効果があるかを検討する予定である。
コロナウィルスの影響で学会延期もあり、使用額に少しの差が生じた。しかし、研究遂行上は特に影響しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (14件) (うち国際共著 4件、 査読あり 14件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件) 図書 (1件) 備考 (2件)
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