研究実績の概要 |
血液がん患者に対して、運動と栄養介入のリハビリテーションの効果を調べるために、ランダム化比較試験を実施した。 対象は2019年11月から2021年3月までの間、北福島医療センターにて化学療法を受けた15名(男:6名、女9名)とし、それぞれ運動介入のみ群7名、運動+栄養介入群8名に振り分けた。 評価は入院時と入院後3ヶ月に筋力(握力、膝伸展筋力)、持久力、筋肉量、簡易栄養状態評価表(Mini Nutritional Assessment)、倦怠感(Brief Fatigue Inventory日本語版)、QOLを測定した。運動療法は持久力・筋力増強運動を1日20分、週6日間実施した。栄養介入は、栄養補助食品(1パック100kcal、タンパク質10g、BCAA2,500mg)を1日2本(運動後と任意時間)摂取した。また、両群間において、1日の平均食事摂取量を算出した。 結果は両群間において、運動療法実施率、1日の平均食事摂取量に有意差はみられなかった。運動+栄養介入群の膝伸展筋力は入院時に比べ入院3ヶ月後も維持できていたものの、運動介入のみ群は低下しており交互作用が認められた(p<0.05)。握力、持久力、筋肉量、MNA,QOLに関しては両群間での有意差を認めなかった。 血液がん患者において、膝伸展筋力に交互作用がみられたことから、運動と栄養介入による一定の効果があったと考えられる。その一方で、握力や倦怠感、QOLでは有意差を認めていない。今回はサンプル数が少なく介入期間も短かったため十分な効果が得られなかった可能性がある。今後はサンプル数を増やし、介入期間を伸ばすことで、長期的にどのような効果が得られるのか検討する必要があると考えている。
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