研究課題/領域番号 |
18K10728
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
大須賀 美恵子 大阪工業大学, ロボティクス&デザイン工学部, 教授 (10351462)
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研究分担者 |
多田 雄真 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 血液内科医員 (90792052)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ストレス緩和 / メンタルケア / 造血幹細胞移植患者 / 無菌室 / プロジェクションマッピング / インタラクティブ動画 / 体験共有 / 歩行リハビリテーション支援 |
研究実績の概要 |
1)無菌環境の患者のためのメンタルケアシステムは,前年度のトライアルで患者の受容性を確認したが,抗がん剤投与および移植前後の治療により心身ともに活力が低下している患者には簡略化したとは言え自身で操作してシステムを利用するにはハードルが高いことが判明した.患者のヒアリングにより,音声入力の示唆を得て,AIスピーカを用いこのスキル開発をすることで,音声入力を可能とした.医師のヒアリングにより,音声利用不可の患者にも適用できるようにのTVのリモコンを用いた操作も可能とした.さらにズームイン・アウトや視点移動も,スマホ画面操作だけでなく,ゲームコントローラ・リモコンを使えるようにし,多様な患者に対応できるようにした. 2)患者と家族をつなぎ体験共有を実現する360度リアルタイムインタラクティブシステムは,HMDを購入し開発システムの患者への適用を準備していたが実施できず,改良点抽出が行えないままで開発も中断している. 3)病棟廊下での歩行リハビリテーションを楽しくするための装置について,実現可能性に主眼を置いてコンセプトの検討を進め,単調な廊下ではなく,毎日,異なる環境で歩いているかのような感覚を与えることを目標に定めた.基本機能として,想定する環境に応じた足音を出す装置を開発した.3軸加速度センサとマイコンを用いた着地検出と足音発生を実現し,健常学生での動作確認テストを行った.さらに,患者の装着負担軽減のための無線化の方法,床への映像プロジェクション機能の追加について検討した.なお,この装置の受容性に関する患者・医療スタッフのヒアリングは行えてない.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度は新型コロナ感染症の蔓延のため,患者を対象とした研究は行えなかった.一部の開発は実施したが,登学自粛などのため進捗が遅れた.
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今後の研究の推進方策 |
インタフェースを改良した無菌環境の患者のためのメンタルケアシステムは,病院への出入り可能になり次第,トライアル(病棟のパブリックスペース)を実施し,その結果に基づき必要な改良を加えて,無菌室での実証実験を行う. さらに,開発が止まっている家族との体験共有システムは,バーチャルイベントを開催して,ニーズとシステム改良点の抽出を図り,可能であれば,前期システムとの統合を図る. 廊下でのリハビリ装置は,医療スタッフへのプレゼンを行い,改良点の指摘を受けて改良し,可能であれば,患者へのデモやケーススタディ的な適用を図る. ペンディングにしていた学会発表や論文投稿にも取り組みたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症対策のため,患者適用が行えなったため,改良や実験実施に供する予定の予算を次年度使用することとした.抽出された改良点に応じてシステム構成要素の置き換え(備品,消耗品),トライアルや実証実験実施における実験実施者の雇用などに充当する.
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