研究課題/領域番号 |
18K10729
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研究機関 | 大阪保健医療大学 |
研究代表者 |
森岡 悦子 大阪保健医療大学, 大阪保健医療大学, 客員教授 (70441334)
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研究分担者 |
大西 環 大阪保健医療大学, 言語聴覚専攻科, 教授 (70747047)
松井 理直 大阪保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (00273714)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 失語症 / コミュニケーション能力 / 情報伝達能力 / 認知機能 / 言語的活動性 / 評価 |
研究実績の概要 |
本研究は,失語症者における情報伝達力に注目したコミュニケーション能力を評価する尺度を考案することを目的とする.試案として作成した尺度は,日常生活上の情報伝達を要する場面を課題とし,伝達内容の複雑性,具体性,論理性の各要素の難易度を調整した14の上位項目で構成した.在宅失語症者30名を対象として,本試案尺度を実施し,同時期に施行した実用コミュニケーション能力検査短縮版,標準失語症検査,家族質問紙の結果をあわせて分析した.本試案尺度の総得点と実用コミュニケーション能力検査短縮版との関連を検討したところ,両検査に高い相関を認め,包括的言語機能を評価する標準失語症検査との関連においても高い相関を認めた.因子分析では、3因子が抽出され,因子的妥当性を確認した.また本尺度は,伝達内容の複雑性を課題とする項目と伝達内容の具体性を課題とする項目において,難易度に応じてコミュニケーションレベルとの対応が認められた.論理性を課題とする項目では,中等度から軽度例において,重要語句の表出,時間配列,人物の関係性の把握,文脈要素の利用など複数の要因の検討により,伝達基準と伝達傾向の得られる可能性が示唆された.対象者のコミュニケーションの活動性を,失語症者の家族への質問紙より分析したところ,言語的活動の他,非言語的活動,知識概念に基づく遂行力などの非言語的認知機能に関する要因が抽出されたが,本尺度は,それらの要因と関連する項目を備えていた.以上より,本試案尺度は,失語症者の総合的なコミュニケーション能力を評価する機能を有すると考えられた.
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