研究課題/領域番号 |
18K10732
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研究機関 | 九州女子大学 |
研究代表者 |
増田 渉 九州女子大学, 家政学部, 准教授 (80295865)
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研究分担者 |
河岸 重則 九州歯科大学, 歯学部, 名誉教授 (20137334) [辞退]
濱嵜 朋子 九州女子大学, 家政学部, 教授 (60316156)
崎山 栄子 九州女子大学, 家政学部, 准教授 (50794963)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 舌立体認知能 / テストピース / 高齢者 |
研究実績の概要 |
高齢者が「食事を口から美味しく食べる」ことは、彼らのQOLを維持・増進させることにおいて非常に重要な項目の一つである。しかし、特に後期高齢者では、咀嚼・嚥下機能が低下することによる誤嚥・窒息、あるいは誤嚥物に付着した菌による肺炎の発症など、生命をも脅かす深刻なリスクが存在する。このような背景から、①高齢者の摂食・嚥下機能の正確な診断・評価の方法、②これに対応する食事の形態や物性に関する基準の確立、が強く求められている。申請者らは上記①に関して、特に舌の立体認知能・運動能を測定・定量化することにより、高齢者の口腔咽頭機能について簡便かつ客観的に評価し、これを利用した新しい診断方法への臨床応用を展開するための基盤となる研究を行ってきた。 今年度申請者らは、まず健常成人を被験者として、被験者の舌上にテストピース(TP)のうちの1つを置き、その形状を判断してもらう評価法において、イラストの中から舌上にあるTPと同じものを選択してもらう方法(方法1)と、イラストを提示せずに描画してもらう方法(方法2)を比較した時、両者の回答に大きな違いがあることを見出した。さらに高齢者を被験者として同様の実験を行ったところ、健常成人と同様、評価方法の違いにより回答に大きな違いが認められた。両方法において、平均正答率は健常成人が高齢者に比べ高く、方法①と②の正答率間で、健常成人・高齢者ともに正の相関が認められた。また方法1では好成績だった集団が、方法2では低い正答率に分散する傾向が両被験者で認められた。以上の結果より、我々が用いている舌立体認知能の評価には様々な因子が関わることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
我々の当初の計画では今年度、舌立体認知能評価に用いるTPの厚さ、材質、温度、味などを変えることで、評価がどのように変化するのか比較する予定であった。しかし今年度、新しいTPを作成するには至らず、これまでのTPを用いて回答方法を変更するのみにとどまった。その最大の原因は、新しいTPを作成してくれる業者が見つからなかったことである。そのような状況下、舌立体認知能評価の回答方法を変えることのみによっても、舌立体認知能に違いが認められたことは、今後の実験の展開において、非常に意義のある結果が得られたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度、作成するに至らなかった新しいTPを是非作成し、これを用いることで舌立体認知能がどのように変化するのか、健常成人と高齢者を対象として、比較・検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度に作成予定であった、新規形状のテストピースの作成ができなかったため、次年度にこれを作成するために使用する。
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