本研究の目的は、歩行困難者を支援する小型軽量で装着者の身体に負担を強いないバックドライバビリティ性を有する歩行支援機器の開発である。本年度は昨年度開発した足関節アシスト装置に関する剛性不足、装着者の癖によるデータの不均一性の解消およびこれらを起因とする歩行状態の向上を目的に、足関節歩行ユニットの構造再設計とアシスト効果の向上を中心に実施した。従前の足関節歩行ユニットにおける問題は、足指をアシストするため5指それぞれをアシストするための部品を複雑に組み合わせた事が要因の一つである。このため強度を保持しつつ、部品点数を省略化することで剛性の向上を図ると共にアクチュエータからの動力伝達が効率的になるようリンク長の見直し、ワイヤ締結手法の改良を行った。データの不均一性解消については、装着時の歩行状態を分析 した結果、装着者の足と歩行ユニットとの密着性に課題があることが分かった。具体的には遊脚期に歩行ユニットが下方に垂れさがり密着度が下がること、垂れさがった分地面とのクリアランスが不足し、通常よりもより無意識に高く足を振り上げようとする、などである。よって歩行を阻害しないよう装着者の足を保持 するための固定具を開発し装着した。また蹴り出し時の接地力を向上させるため、ヒトの足底腱膜構造を参考にウインドラス機構を採用した。足指の背屈と足底 腱膜の収縮とを連動させることで足指接地時に荷重を加えると自動的に蹴り出し力を増強させる構造である。これらを組み合わせて歩行試験を行った結果、昨年度よりも安定的な歩行状態を維持しつつ接地荷重を12%向上させるに至った。
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