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2021 年度 実績報告書

予後予測因子解明に向けた吃音のある幼児の発話関連能力の縦断的調査

研究課題

研究課題/領域番号 18K10735
研究機関国立障害者リハビリテーションセンター(研究所)

研究代表者

酒井 奈緒美  国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 感覚機能系障害研究部, 研究室長 (60415362)

研究分担者 越智 景子  東京工科大学, メディア学部, 助教 (20623713)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード吃音 / 幼児 / 構音速度 / 発話長 / turn-taking gap
研究実績の概要

昨年度に引き続き、自宅での親子の遊び場面における発話データを収集し、幼児とその親10組の発話について分析を行った。分析の観点は、①子の吃音症状(非流暢性)、②子の構音速度(pauseを除いた時間1秒あたりの発話モーラ数)、③子の発話長(ターンごとに区切られた発話のモーラ数)、④turn-taking gap(親の発話の終了時点から、続く子の発話開始までの交替潜時)とした。これらの観点について、吃音の予後予測因子の1つとされている構音(音韻)能力との関連性を含めた分析を行うため、②構音速度、③発話長、④turn-taking gapについて、(構音の誤りあり群・なし群)×(吃音症状あり発話・なし発話)の2要因分散分析を行なった。
その結果、どちらの群も吃音がない発話の方が発話長が有意に短いことから、発話長の大きさ、つまり発話企図の負荷の大きさが吃音の生起に関与する可能性が示唆された。さらに、構音に誤りがある群は、吃音が生じていない発話の発話長が、構音に誤りがない群より有意に短かった。つまり、構音能力が低い群が流暢に話せる発話は短い発話長に限られることが示された。これらの結果は、昨年度に引き続き、複雑な発話の企図が吃音の誘因となっている可能性を示すとともに、構音能力が低い子については、特にこれらの誘因の関与が大きい可能性を示唆するものであった。
また発話長については、両群共に吃音のない発話の方が構音速度が有意に速いことが示された。この結果は、吃音の生起により構音速度の低下が生じたと解釈できる可能性があるが、今後のさらなる検討が必要と考える。
最後に、④turn-taking gapについては、構音の誤りがない子は、構音の誤りがある子に比べて、交替潜時が有意に長いことが示された。この結果についても、さらなる調査・分析が必要である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Treatment for School-Age Children Who Stutter: A Systematic Review of Japanese Literature2022

    • 著者名/発表者名
      Daichi Iimura, Kohei Kakuta, Takuya Oe, Hiroaki Kobayashi, Naomi Sakai, Shoko Miyamoto
    • 雑誌名

      Language, Speech, and Hearing Services in Schools

      巻: 53(2) ページ: 561-583

    • DOI

      10.1044/2021_LSHSS-21-00044

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 幼児吃音に関する保育所保育士および幼稚園教員の知識と経験の実態2021

    • 著者名/発表者名
      酒井奈緒美, 森浩一
    • 雑誌名

      日本コミュニケーション障害学

      巻: 38 ページ: 161-172

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 吃音のある成人に対する集団認知行動療法プログラムの開発2021

    • 著者名/発表者名
      北條具仁, 灰谷知純 , 酒井奈緒美, 角田航平, 金樹英, 森浩一
    • 雑誌名

      吃音・流暢性障害学研究

      巻: 4 ページ: 1-17

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Psychiatric comorbidities in adult patients who stutter2021

    • 著者名/発表者名
      Soo-Yung Kim, Ryusuke Sakuma, Naomi Sakai, Tomohito Houjou, Koichi Mori, Arata Oiji
    • 雑誌名

      The Kitasato Medical Journal

      巻: 51 ページ: 117-127

    • 査読あり
  • [学会発表] 吃音の幼児と親の会話の分析ー調音速度と中核症状を中心にー2022

    • 著者名/発表者名
      越智景子, 酒井奈緒美, 角田航平
    • 学会等名
      2022年春季研究発表会
  • [学会発表] Speech Teachers’ Concerns about Supporting Transition from Elementary to Middle School for Students Who Stutter2021

    • 著者名/発表者名
      Norimune Kawai, Hiroaki Kobayashi, Yuki Hara, Shoko Miyamoto, Naomi Sakai, Nagako Matsumiya
    • 学会等名
      ASHA 2021
    • 国際学会
  • [学会発表] 吃音のある幼児の保護者が行う援助希求行動と支援提供の実態:吃音を主訴とした幼児の中核相談機関受診までの現状2021

    • 著者名/発表者名
      酒井奈緒, 角田航平, 坂田善政, 石川浩太郎
    • 学会等名
      第47回日本コミュニケーション障害学会学術講演会
  • [学会発表] 8週間のガイド付きの簡易型マインドフルネス瞑想訓練が、吃音のある成人の日常生活場面に与える影響2021

    • 著者名/発表者名
      灰谷 知純, 酒井 奈緒美
    • 学会等名
      第47回日本コミュニケーション障害学会学術講演会
  • [学会発表] 遠隔対面治療の導入により心理・態度面に改善を認めた成人吃音症例2021

    • 著者名/発表者名
      酒井奈緒美, 北條具仁, 森浩一
    • 学会等名
      日本吃音・流暢性障害学会第9回大会
  • [図書] 新・教職課程演習 第6巻 特別支援教育2021

    • 著者名/発表者名
      米田宏樹,川合紀宗
    • 総ページ数
      243
    • 出版者
      共同出版
    • ISBN
      9784319003471

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公開日: 2022-12-28  

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