研究課題/領域番号 |
18K10738
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
佐野 正明 秋田大学, 保健管理センター, 准教授 (30323140)
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研究分担者 |
塩谷 隆信 秋田大学, 医学系研究科, 名誉教授 (90170852)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | COPD / 呼吸リハビリテーション / 身体活動性 / アイリシン |
研究実績の概要 |
COPD死亡の最大の危険因子は身体活動レベルであるが,元々身体活動の乏しい COPD患者が,身体活動性を向上させることで,COPDの予後が改善するとの科学的根拠は示されていない.骨格筋由来マイオカインであるアイリシンの血中濃度は,COPDの身体活動性と相関を示し,気腫化と強く逆相関し,タバコ煙による肺胞上皮細胞のアポトーシスがアイリシンにより抑制されることが報告された.本研究は,身体活動性の向上により,アイリシンが増加することにより,COPDの予後が改善すると仮説し,身体活動性,アイリシン濃度に対する呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)の及ぼす効果の検討を目的とする.市立秋田総合病院呼吸器内科に通院中で,同意の得られた最近6週間以内に気道感染のない,症状の安定しているGOLD診断基準(FEV1/FVC<70%)に合致するCOPD患者で検討を進めている. 研究分担者の塩谷は,加速度計で測定したCOPD歩行異常とCOPD肺外機能障害との有意な関連を報告した(Gait & Posture, 74:60,2019).COPD男性患者34人と,65歳以上の健康男性16人を対象とし,加速度計を装着して10メートルの歩行テストを行い,歩行速度,歩幅,リズム,加速度の大きさ,ステップ時間の標準偏差と1秒量,修正呼吸困難スコア,6分の歩行距離(6MWD),大腿四頭筋筋力,身体活動量の相関を検討した.加速度計によって測定された歩行異常とCOPDの肺外機能障害との間に有意な関連が認められ,加速度計を用いた歩行分析は,歩行異常を評価し,COPDの機能低下をスクリーニングする代替アプローチになる可能性が示唆された.また第29回呼吸ケア・リハビリテーション学術集会(11月,名古屋)において,メタ解析の結果,呼吸リハ単独に比し,カウンセリング併用呼吸リハが有用であることを報告した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究はCOPD患者の身体活動性向上によるマイオカイン(アイリシン)の増加効果における呼吸リハビリテーションの有用性を検討するものである.新型肺炎による患者の受診控え等もあり,同意の得られる検討に合致する症例を確保することができず,研究の進行が滞っている.またアイリシンの測定は外注できず,キットを用いて研究室での計測となるのであるが,研究補助職員の退職等あり研究が滞っている.研究協力の理学療法士と定期的にディスカッションを行い,研究遂行の準備を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
対象患者のエントリーの遅れが研究の遅れになっている.当施設および関連施設の患者のリストアップを推進する.さらに,アイリシンの測定環境を構築し,研究を行うこととする.
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次年度使用額が生じた理由 |
患者登録が遅れており,検査に要する費用がかからなかったため,その分次年度の使用額が生じることになった.本年度の登録患者の検査機器,検査費用,および業績発表等に使用する予定である.
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