身体の三次元スキャン技術を用いた先天性上肢欠損小児の断端部のサーフェスモデル作成と、それを用いた義手ソケット作成技術を確立することに向け、初年度・次年度の研究で確立した三次元スキャン時の切断肢の採型肢位やスキャン方法を通じて、成長に伴う断端サイズ及び形状の経時的な変化の計測・評価を継続すると同時に、成長に伴うソケット不適合に対して再作成を行った。 これまでと同様に断端長や断端周径というファクターだけでなく、肘頭骨位置、上腕骨内側上顆、上腕骨外側上顆などのメルクマールを基準として、三次元のボクセルータから作成したサーフェスモデルを基準にソケットの変形を行い、実際に作成した義手ソケットの再作成とギプス採型で作成したソケットとの比較を行なった。 またCADソフトウェアを用いた手先具作成については、簡便な脱着可能な手先具交換システムを維持しながら、これまでのニーズ(これまでのお茶碗を持つ、縄跳びを持つ、裁縫の時に布を把持するなど)に加え、先天性上肢欠損小児のためのesportsのコントローラー操作目的のためのデバイスを新たに考案・作成し、それぞれ使用訓練の後に実生活における使用テストを行いながら、適合状態や形状の微調整を適宜行ない、義手全体としての性能の向上に努めた。特にesportsのコントローラー操作目的のデバイスに関しては、先天性上肢欠損小児の義手操作訓練への積極的な取り組みが見られた。
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