研究実績の概要 |
運動時低酸素血症 (exercise induced desaturation: EID) は慢性閉塞性肺疾患患者の入院リスクや死亡率を高める. 安静時呼吸数は心肺疾患の合併症や増悪を予測するが, 運動時呼吸数とEIDとの関連は明らかになっていない. 本年度は大学院生(角田早紀)とともに昨年度からの検討課題であった低酸素血症と呼吸数に関する分析を行った。 具体的には6分間歩行試験中のEIDの有無による呼吸数の差があるか検討した。対象74名から除外基準を除いた47名のうち6MWT中のΔSpO2 ≧ 4%, SpO2 ≦ 88%をEID群とした. EIDの有無で2群に分け, 6MWT中の呼吸数のrest, max, recovery, Δ について単変量解析を行った. また, 2群間の呼吸数とSpO2の二元配置反復測定分散分析を行った. 対象は年齢73.6±7.3歳, 男性39名 (83.0%) , BMI 22.4±4.0kg/m2であり, EID群31名, non EID群16名であった. EID群の1秒率 (46.5±13.5 vs 58.4±9.7) と%1秒量 (55.2±16.0vs 65.6±17.8) は有意に低かった (p < 0.05) が, 呼吸数に差はなかった. EID群の呼吸数の経時的変化には口語作用とEIDの有無 (p = 0.532, p = 0.076) による影響はなかったが, 時間 (p< 0.001) のみ影響があった.今回の分析から慢性閉塞性肺疾患患者における6MWT中の呼吸数はEIDの有無によって差はないことが明らかとなった.
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